RM_horseの競馬コラム

競馬についてあれこれ書きます。

高額馬は活躍するのか?

 

7月8日、9日は競走馬のセリで最も規模が大きいセレクトセールが開催されました。

今年は落札額の総額がなんと200億円を超えるセリであり、

一般のネットニュースにも掲載されるほどの注目度です。

 

 

・今年のセレクトセールの感想

本題に入る前に、今年のセレクトセールの結果を見てみると、

毎年の印象ではありますが、非常に高額です。

 

近年に言えることは、「安い馬も高い」ということではないでしょうか?

社台SSにいるような種牡馬の産駒かつ、ノーザンファーム生産馬であれば

それだけで5000万を超えています。

さらにディープインパクトキングカメハメハロードカナロアハーツクライ

といった主要種牡馬であれば億を超えてきます。

G1レースで上位を占めますから、当然といえば当然かもしれません。

 

 

・高額馬はどれだけ活躍するか?

さて本題ですが、セレクトセールの高額馬は

その後金額に見合った活躍をしているのか気になりませんか?

走るかどうかなんて走ってみないとわからないのは明白ですが

どれだけ活躍馬が出ているかを整理しておくと、POGにも役立ちそうです。

 

そこで、現5歳世代以降の過去5年のセール高額馬トップ10を年代毎に並べてみました。

ここでは取引時の当歳と1歳は分けておらず、金額だけで並べています。

馬名の色分けは下記のようにしています。

  • 回収率(獲得賞金÷落札価格)が100%を超えている:
  • 回収率が100%超えかつ、G1勝利がある:
  • 回収率が100%を超えていないが、重賞勝ちがある:

 

なお、JRAでの賞金だけですので、地方競馬や海外での獲得賞金は含まれていません。

JRA抹消後に地方や海外に移籍した場合も同様です)

JRA所属中に海外レースで賞金を得た馬は※をつけています。

地方のレースで勝った例もありましたが、交流未勝利か500万クラス相当です。

重賞で賞金を得た馬はおりませんでした。

 

デビューが出来なかった馬も入れていますが、

海外の馬主が落札して海外でデビューした馬は入れておりません。

(例えば、母ミュージカルウェイの2014)

 

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2010年生まれから2014年生まれまでの5年間のトップ10の馬で、

セリでの落札額を回収できたのは8頭です。

内G1馬はスワーヴリチャードサトノダイヤモンドサトノアラジンの3頭。

もちろん、トップ10に絞っているのでこの頭数です。

トップ20だとかもっと頭数を広げれば回収率の高い馬も出てきます。

 

ここで言いたいのは、高い馬はみんなある程度活躍するかというと

全くそうではないということです。

 

 

・高額馬を落札する馬主さん

馬の脚はガラスに例えられるくらい脆いものです。

素質は持っていても脚が丈夫じゃなかったために

活躍できない例がたくさんあります。

上の表で言えば、ヴァンキッシュランラストグルーヴはそうでしょう。

 

しかし、実は価格に見合った素質を持っていなかった馬のほうが多いはずです。

馬の素質を0歳や1歳で完全に見抜くことは出来ないのでしょう。

 

今回あげた5年間で、サトノ冠の里見オーナーは

上記のサトノダイヤモンドサトノアラジンに加えてサトノクラウン

3頭のG1馬をセリで落としましたが、

落札した高額馬の数も半端じゃありません。

3頭ではこれまでの投資はまだまだ回収できていないと思われます。

こんなに投資を回収できないビジネスもなかなかありません。

馬主さんは大体経営者で数字にはシビアなはずですが、

馬の競り落としになると平気で何千万、下手したら1億以上予算を超えていきます。

要は里見オーナーはそれでも気にしないくらいお金持ちだということです。

 

なので毎年のように新しい馬主さんが億単位の馬を

競り落としていくのを見ますが、かなり危険だなあと思っています。

フサイチ冠の関口氏や、ミュゼ冠の高橋氏、最近ではKTレーシングなど

かつてはセレクトセールで景気良く競り落としていたのに、

パッタリと見なくなってしまった馬主さんも多くいます。

本業が不振になってしまい、手放さざるを得なかったのでしょうけれども

何億円も毎年のように出費するのは尋常じゃありません。

現代で“ダビスタ感覚”で馬主ができるのは、相当なお金持ちです。

 

 

POGの面では?

我々競馬ファンの大半は馬主に慣れるほどのお金は持っていません。

一口馬主もありますが、それも気軽にできるものではありません。

 

そこでペーパーオーナーゲーム(POG)で楽しみます。

POGとはデビュー前の馬を指名して、その馬たちの

ダービーまでの獲得賞金の合計金額を競います。

ウェブサイトや雑誌といった様々な媒体で開催されており、

指名馬の制約など細かいルールが設定されているものもあります。

仲間内で楽しんでいる人もいると思います。

 

POGの指名馬に高額馬は向いているか?ということですが

何頭か対象期間中の重賞勝ち馬は出ていますが、G1勝ちは出ていません。

(スワーヴリチャードとサトノダイヤモンドがダービー2着)

過去10年のセレクトセール高額馬(1億円以上)でPOG期間中のG1勝ちは

ラヴズオンリーユーミッキークイーンオークスのみです。

あまりセレクトセール高額馬をPOGで狙うのは効率的でなさそうです。

 

 

・幸運な馬主4選

高額馬を買い漁って結果が出にくい、という結論で終わると後味が悪いので、

個人的に選んだ幸運な馬主さんを4人ご紹介します。

もちろん運だけでなく相馬眼や様々な努力の賜物だと思いますが、

上記の通りお金をかけても必ず活躍馬が出るとは限らない世界です。

敬意を込めて幸運とさせていただきます。

 

 

金子真人

個人馬主といえば金子氏の名前が最初に思い浮かびます。

これは誰も異論はないでしょう。

通算で12頭のG1馬を所有している、という数字だけでも凄まじいですが

なんといってもその12頭のうちの2頭が

ディープインパクトキングカメハメハという2大種牡馬を持っていたということ。

誰もが勝ちたいダービーも上記2頭以外にマカヒキワグネリアンで勝っており、

ダービー通算4勝は個人馬主が達成できる数字ではありません。

特にディープインパクトは歴代で2頭しかいない無敗でのクラシック3冠を達成。

通算成績はG1 7勝を含む14戦12勝。

歴代最強馬は?と聞かれればディープインパクトと答える人が多いと思います。

 

そのディープインパクトも実はセレクトセールで取引された馬。

0歳時の2002年に7000万円で落札されています。

なかなかの高額に思えますが、ディープインパクトの父サンデーサイレンス

日本の競馬を変えた大種牡馬で、当時は非常に人気がありました。

この時のセールでサンデーサイレンス産駒は14頭いましたが

ディープインパクトは9番目と、それほど人気はなかったようです。

馬体の薄さが嫌われたようで、生産牧場でもさほど評価はされていなかったようです。

それが最強馬になってしまうのですから、わからないものです。

 

他にも歴代最強ダート馬の呼び声が高いクロフネ牝馬三冠を達成したアパパネなど

種牡馬入り後も考慮すると、最も稼いだ個人馬主と言えるでしょう。

 

 

大和屋暁

この人は馬主になっていきなり大当たりを引きました。

馬主になって最初に落札した馬はデビュー前に亡くなってしまいましたが

2頭目の馬、すなわち初めて走った馬がとんでもない活躍をしました。

名前をジャスタウェイといい、ドバイデューティーフリーをレコードで勝利し

一時レーティングが世界1位となりました。

レーティングの世界単独1位は日本馬で初めてでした。

 

そのジャスタウェイセレクトセール取引馬。

1歳時の2010年のセレクトセールで1260万円で落札されています。

たった1260万円で後に9億円近く稼ぐ馬を購入しています。

 

大和屋氏はハーツクライ一口馬主だったこともあり、

ハーツクライ産駒が出るたびに手を挙げ続け、

競合しなかったジャスタウェイをたまたま購入できたそうです。

(本業はアニメ等の脚本家で、大金持ちではありません)

ジャスタウェイは脚が外向きに曲がっており、

お金を貰っても持ちたくないとも言っている馬主もいたとか。

やはり、走るかどうかは2歳以降に走ってみないとわかりませんね。

 

 

佐々木主浩

野球ファンにはお馴染み大魔神佐々木氏です。

なんといっても母ハルーワスウィートの子供の活躍がすごいです。

ハルーワスウィートは先天的に尾骨がなく、しっぽがありません。

競走馬はしっぽでバランスを取りながらコーナーを曲がるとされ

ハンデがあると思われていましたが5勝をあげます。

しっぽがない姿からファンの多い馬だったそうです。

佐々木氏もその一人で、子供は絶対に落札すると言って

本当に初年度の産駒を落札しました。

 

その後、佐々木氏の熱意に負けてノーザンファーム

ハルーワスウィートの子供を全て佐々木氏に売ります。

その中からヴィルシーナシュヴァルグランヴィブロス

3頭もG1馬を輩出しました。

 

佐々木氏曰く、ハルーワスウィートはしっぽがないながらも

それなりに活躍したため、能力は非常に高いと考えていたとのこと。

それでも3頭もG1馬を出すとは佐々木氏も想像していなかったでしょう。

 

 

小林祥晃

Dr.コパでお馴染みの風水師です。

個人的には非科学的なアプローチは好きではありませんが、

風水の力を活かしているのか好成績を挙げています。

 

小林氏はセレクトセールには参加せず、日高の安い馬で活躍馬を出しています。

代表馬はG1を歴代最多の11勝もあげたコパノリッキーです。

他にも高松宮記念を勝ったコパノリチャード全日本2歳優駿を勝ったラブミーチャン地方馬)がいます。

ほとんどが日高の1000万未満のお値打ち価格でこれだけの活躍をしているのは、

風水の力としか言いようがありません。

 

 

 

以上、競走馬のセリににまつわる面白い話でした。