レース回顧 〜日本ダービー〜
今年の日本ダービーは誰もが驚く結末が待っていました。
予想はこちらから。
1コーナーまで激しい先行争いとなりました。
最も良いスタートだったのは2枠3番のエメラルファイト。
しかし手綱を引いて1枠1番のロジャーバローズにハナを譲ります。
さらに外から逃げ宣言のリオンリオンが一気にハナを奪いました。
リオンリオンはその後飛ばしに飛ばし、
1000m通過は57.8という、2400mのレースとは思えないハイペース。
離れた2番手にロジャーバローズ、
さらに離れてサトノルークス、エメラルファイト、ダノンキングリー、クラージュゲリエ
また少し離れて一団といった馬群でした。
リオンリオンの逃げに関しては後で記します。
3,4コーナーでもペースは緩まず直線を向きます。
離れた2番手のロジャーバローズが一気に先頭に立ちます。
3強の1角のダノンキングリーが好意から2番手、これはすぐにロジャーバローズを差し切ると思いました。
追い込み勢も外からサートゥルナーリアを筆頭に
一気に畳み掛けるように追いますが、完全に全頭坂でロジャーバローズとダノンキングリーと脚色が同じになりました。
1,2着争いはロジャーバローズとダノンキングリーに絞られました。
当初はすぐにダノンキングリーが抜かすだろうと思っていましたが
なかなか捉えることはできません。
最後の50mでダノンキングリーが少し詰めますが、
クビ差逃げ切りロジャーバローズがダービー馬となりました。
離れた3着には最後バテてしまったサートゥルナーリアを交わしたヴェロックスが入りました。
これは誰もが驚いたのではないでしょうか?
単勝12番人気で93.1倍のロジャーバローズがまさかまさかのダービー制覇。
鞍上の浜中騎手も勝てるとは思っていなかったというコメントを出しています。
前走の京都新聞杯はレッドジェニアルに差し切られていますし、
全く力が足りないと考えていました。
・ロジャーバローズと浜中騎手
ロジャーバローズの力は相当なものです。
いくら高速馬場といえどもダービーレコードで押し切るのは能力がなければ出来ません。
私は隊列を見た時にダノンキングリーの勝利を確信していましたが、抜かせないはずです。
ロジャーバローズは最後の3ハロンは12.0→11.9→12.0で駆け抜けています。
東京優駿 レース結果 | 2019年5月26日 東京11R - netkeiba.com
リオンリオンがハイペースで飛ばす中、最後まで余力があるようにマイペースを守っていた浜中騎手の好騎乗でした。
ダービーは最も運のいい馬が勝つと言われています。
確かに運が良かったのは間違いありません。
1枠1番という枠順、
リオンリオンの大逃げ(もっと言えば乗り替わりも含めて)、
離れた2番手でも何にも絡まれずに楽に走れたこと、
ダノンキングリーが道中でエメラルファイトとクラージュゲリエに蓋をされて動けなかったこと、
(本当はもう一つ前で追走したかったと思います)
そして内有利の高速馬場。
しかし、フロックでダービーは勝てません。
ロジャーバローズの底力と浜中騎手の腕があってこそです。
たまたまというのは人馬と陣営に失礼です。
今後は一次登録をしていた凱旋門賞もプランの一つとのこと。
オーナーはもしかしたらダービー制覇を信じていたのかもしれません。
クラブ馬の挑戦は反対ですが、個人オーナーが自分のリスクの範囲で挑戦するのは歓迎です。
・3強について
今年はサートゥルナーリア、ヴェロックス、ダノンキングリーの3強と言われていましたが
ロジャーバローズに屈して2,3,4着でした。
ダノンキングリーに関してはあと少しでした。
先にも記したように追走時に蓋をされずにもう一列前にいることが出来たら、
また、直線では外に寄れ気味で馬体を併せることができませんでした。
その少しだけ運がなかったかなと思います。
戸崎騎手は文句無しの騎乗をしたと思います。
ヴェロックスは外を回す競馬。
この馬はもしかしたら馬群にもまれるのが苦手かもしれません。
少頭数をよく使っていたのもそう考えると納得です。
サートゥルナーリアは出遅れ。これは不運でした。
しかし、もともとスタートはゆっくり出るタイプですし、
出遅れがなくとも勝利は難しかったと思います。
追い出しのタイミングが早くならざるを得なかったとレーン騎手はコメントしていましたが、
そこは経験不足のところが出てしまったかなと思います。
タイムでは上がり最速ですが、一度抜かしたヴェロックスにゴール前で差し返されています。
それはレーン騎手に決まった時に懸念として書きました。
ほら見たことかと言いたいわけではありません。
大事なのはレーン騎手を責めるようなことはあってはならないということです。
それはファンもマスコミも馬主もです。
・リオンリオンの大逃げ
さて、今年のダービーはリオンリオンの大逃げがファンを沸かせました。
積極的だと歓迎する声が多いようですが、
個人的にはあまりいい印象を持っていないです。
逃げ馬が上位に残るのは次のような逃げ方のパターンがあると思います。
- スローペースで逃げて、直線での瞬発力でも負けない
- 平均ペースで最後まで同じラップを刻み、差しが届かないようにする
- 前半速いペースで入り、一旦ペースを落として息を入れてから後半二の足を使う
ハイペースで逃げて押し切るというのはマイル以下の距離ならあり得ますが、2400mでは考えられません。
リオンリオンは先に記したように、前半1000mは57.8というマイル戦のようなペース。
その後もペースはほぼ緩まず、2000mの通過は1分58秒7。
皐月賞の勝ちタイムが1分58秒1ですから、このペースがいかに速いかわかると思います。
こうなるとリオンリオンが上位に残るのは不可能です。
15着に敗れました。
何も結果を見て鞍上の横山武史騎手を責めようということはありません。
ダービーは特別な舞台です。緊張感も違うでしょう。
思ったようなペース配分にならなかったということ自体はあるでしょう。
ミスを責めるつもりはありません。
しかし、横山武史騎手からのコメントは意外なものでした。
大逃げで場内沸かせたリオンリオン15着/ダービー|極ウマ・プレミアム
「悔いのない競馬が出来た」
これにはかなり引っかかりました。
レース振りを悔やんでいれば何も感じませんでした。
彼は逃げることを目的にしていたんだなと感じました。
リオンリオンは上位に残るために出走していたのではないですか?
そのために逃げる選択肢を取るのは何の問題もないですが
上位に残るための逃げ方があるでしょう。
逃げただけでよく出来ましたではないのです。
若手といってもプロであることには変わりません。
競馬学校で勉強中の人であれば、模擬レース等でとりあえず逃げることを目的にしてもいいと思いますが
彼はプロの舞台でそれをしたのです。
プロとは目的と手段をしっかり切り分けて考えることが出来る人です。
残念ながら彼はまだ思考がプロのレベルに達していないと言わざるを得ません。
少しフォローするなら、「もっと出来る部分はあった」とコメントしているので
全く反省がないわけではなさそうです。
これから本当のプロになることを期待します。
・最後に
長くなりましたが今年もダービーは楽しみました。
来年はどんな馬がダービーを制するのか?
今から楽しみです。
実は昨年の今頃に指名したPOGで3頭もダービーに出走させることができたので
今年もいい指名ができればいいなと思っています。