RM_horseの競馬コラム

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競馬についてあれこれ書きます。

追悼ディープインパクト 〜種牡馬編〜

 

7月30日に亡くなったディープインパクトの偉大な功績を振り返り追悼するコラムです。

今回は種牡馬編です。

 

現役編はこちらから

 

 

種牡馬としても規格外なディープインパクト

ディープインパクトは2006年12月25日付で競走馬登録が抹消され、

翌2007年から社台スタリオンステーション種牡馬になりました。

シンジケートは総額51億円(8500万円×60株)と、現在でも日本史上最高額です。

ディープインパクトの他様々な名馬を輩出した、父サンデーサイレンスが既に亡くなっていたので、

後継種牡馬として期待されておりました。

ディープインパクトはその期待に見事に答えます。

 

2010年より初年度産駒がデビュー。

2歳の勝ち上がり頭数は驚異の35頭JRA記録を更新。

勝利数もサンデーサイレンスの30勝を大幅に更新する41勝

さらに重賞も勝利し、文句なしのJRA2歳リーディングサイアーです。

 

翌2011年は桜花賞マルセリーナが制して産駒のG1初勝利。

リアルインパクトの3歳での安田記念勝利もありました。

2世代しかいないのにJRAサイアーランキングは2位。

すでにディープインパクト産駒がJRAを席巻していました。

 

2012年にはジェンティルドンナ牝馬3冠を達成し、

ディープブリランテ日本ダービーを制しました。

総合成績でも遂にリーディングサイアーを取りました。

まだ2、3、4歳の3世代しかおらず、

なおかつキングカメハメハという強力なライバルもこの時点で圧倒しました。

 

リーディングサイアーの座は昨年2018年まで守り続け、7年連続です。

2歳リーディングは2015年にダイワメジャーに譲りましたが、

それ以外の年は全て獲得しています。(2010〜2014、2016〜2018)

近年、ロードカナロア産駒の活躍が著しいですが、

ディープインパクトの牙城を崩すには至っていないのです。

 

 

ディープインパクトが輩出したG1馬

ディープインパクト産駒のG1馬を下記にまとめました。

海外G1および地方のJpn1も入れています。

海外調教馬は英字表記としています。

トーセンスターダムは迷いましたが日本語表記としました)

数が多いので上2008年〜2011年生まれ、下2012年〜2016年生まれと2つに分けました。

 

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9年間でG1馬44頭、63のG1勝利は圧巻の一言。

年平均にすると毎年約5頭はG1馬を出しています

初年度産駒から現3歳世代の2016年産まで、必ずG1馬を毎年輩出しています。

 

海外G1での勝利が多いのも特徴的。特にドバイとの相性が良さそうです。

それだけでなく、海外調教馬も3頭います。

ディープインパクト種牡馬としての力を海外でも認められている証拠です。

 

産駒が未勝利のJRA G1はフェブラリーS高松宮記念、中山グランドJ、

スプリンターズS、チャンピオンズC、ホープフルS(G2時代には4度勝利している)のみ。

ホープフルSを制するのは時間の問題だと思いますが、

短距離とダートは苦手なようです。

(平場の成績を見る限り、短距離はそれほど苦手に思えませんが)

 

今のところの最高傑作はジェンティルドンナでしょうか?

3歳時に牝馬3冠とジャパンカップを制し、その後も

ドバイシーマクラシック、2回目のジャパンカップを勝利するなど一線級で活躍し、

ディープインパクトと同じ引退レースの有馬記念を勝ちました。

G1勝利数もディープインパクトと同じ7勝

史上最強牝馬は?と聞かれたらジェンティルドンナをあげる人が多いのではないでしょうか?

牝馬であるため種牡馬になれないのが悔やまれるほどです。

(もちろん繁殖牝馬としての期待は大きいですが)

 

ジェンティルドンナが目立つため、ディープインパクト産駒は牝馬の方が活躍すると

考えている人もいるようですが、G1馬の数では牡馬25頭、牝馬19頭と牡馬の方が多いです。

むしろ牡馬牝馬バランスよく活躍馬を出していると思います。

 

現在の2歳、1歳、0歳まではディープインパクト産駒がたくさんいますので、

まだまだG1馬は増えていくと思います。

 

後継種牡馬に関しては、まだ定まっていないのが現状です。

G1勝ち馬で2019年までに種牡馬になったのは、ディープブリランテトーセンラー

リアルインパクトスピルバーグキズナダノンシャークミッキーアイル

サトノアラジンリアルスティールサトノダイヤモンドの計10頭。

他にもダノンバラードトーセンホマレボシ、シルバーステート、グレーターロンドンなどが

G1勝ちが無いものの種牡馬入りしています。

(抜けがあるような気がします。申し訳ございません。)

 

産駒がデビューしていない種牡馬が多いですし、今後に期待です。

 

 

 

・父サンデーサイレンス種牡馬成績

ディープインパクトの父サンデーサイレンスも偉大な種牡馬でした。

サンデーサイレンス種牡馬成績を振り返ります。

相変わらずウィキペディアの記事を参照しています。

 

サンデーサイレンスアメリカで活躍した競走馬でしたが、種牡馬としては

父系母系ともにあまり人気がなく、アメリカでは需要が少なかったようです。

しかし、社台グループ創業者の吉田善哉氏はサンデーサイレンスを高く評価し、

1100万ドルで購入し、1991年から社台スタリオンステーション種牡馬入りしました。

 

1994年に初年度産駒がデビュー。いきなり30勝をあげ、重賞も4勝しました。

2歳の重賞は数が少ないので、ほとんどサンデーサイレンス産駒が

勝っているような感覚だったと想像します。

 

翌1995年には、なんとリーディングサイアーとなりました。

2歳と3歳の2世代だけでリーディングを獲得するというのはとんでもないことです。

ディープインパクトの3世代だけでのリーディングもすごいのですが)

リーディングサイアーの座は2007年まで13年連続で守ることになります。

 

後でG1馬の一覧を示しますが、未勝利のJRAのG1は

中山グランドジャンプNHKマイルカップJCダート(現チャンピオンズC)、中山大障害です。

障害2レースと2000年に始まったJCダートは未勝利も納得ですが、

NHKマイルカップが未勝利なのは意外でした。

マイルCSをたくさん勝っているのでマイルが苦手だったとは思えませんし、

おそらくめぐり合わせの話でしょう。

 

サンデーサイレンスは2002年、16歳の夏に亡くなってしまいます。

2003年生まれがラストクロップとなり、全ての世代で最低1頭はG1馬を輩出しています。

ディープインパクトは2002年生まれですので、かなり晩年の産駒でした。

 

数字上の記録の話をしておくと、以下の記録は全て1位です。

 

ディープインパクトがどの記録を更新できるか、できないか、

非常に興味深いです。

 

 

サンデーサイレンスが輩出したG1馬

ディープインパクトと同様にG1馬をまとめてみました。

表が長くなるので、2つにしています。

 

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(※イシノサンデーダービーグランプリは統一グレード制前なのでカウントしませんでした)

 

サンデーサイレンス種牡馬として産出したのは1992年産から2003年産の12年間。

G1馬を44頭輩出しました。

 

なんと、もうすでにディープインパクトサンデーサイレンスに頭数が並んでいるのです。

今後最低でも10頭は増えると思いますので、G1勝ちの頭数を更新するのは時間の問題です。

 

ただし、G1勝利数はディープインパクトより多い78勝

ディープインパクトが63勝ですから、“密度”はサンデーサイレンスが圧倒的です。

代表馬はなんと言ってもディープインパクト

ただし、ディープインパクトだけでなく、スペシャルウィークマンハッタンカフェ

ゼンノロブロイダイワメジャーなどG1を複数勝利した馬が多数いるのがすごいです。

 

牡馬牝馬のバランスは、牡馬29頭、牝馬15頭と牡馬が多め。

なので後継種牡馬にも恵まれています。(むしろ恵まれすぎています)

ディープインパクトだけでなく、仕上がり早で勝ち上がり率が高いダイワメジャー

平成最後の3冠馬オルフェーヴルの父ステイゴールド

今やロードカナロアに次ぐ種付け料のハーツクライなど、

国産馬でサンデーサイレンスの血がいない馬を探す方が難しくなっています

 

サンデーサイレンスディープインパクトと同様にダートよりも芝向きの種牡馬でしたが

ダートG1 4勝のゴールドアリュールを輩出しています。

ゴールドアリュールよりもG1勝利数が多いダート馬はたくさんいますが、

種牡馬としてはダートでナンバーワンではないでしょうか?

 

 

ディープインパクトサンデーサイレンスを超えられるか?

ディープインパクト種牡馬としてサンデーサイレンスにかなうのか?

現時点ではかないません

 

なぜならディープインパクトディープインパクトを輩出していないからです。

もうこれが全てです。

 

ただし、後継種牡馬は必ずしもディープインパクトのようなスーパーホースでなくてもあり得ます。

サンデーサイレンスも1番の後継種牡馬ディープインパクトでしたが、

それに次ぐ種牡馬ダイワメジャースペシャルウィーク(も優秀ですが)というよりも

G1 1勝のステイゴールドや2勝のハーツクライが目立ちます。

必ずしも現役時の競走成績が種牡馬成績に直結するわけではありません

 

しかし、ディープインパクト産駒はまだデビューしていない馬がたくさんいます。

この中にディープインパクト並みのスーパーホースがいるかもしれません。

現にディープインパクトがデビューしたのはサンデーサイレンスの没後でした。

評価を下すのはまだ早いのです。

 

必ずこれから大物が出るとは言いませんが、大物が出るかもとワクワクしているほうが、

競馬をより楽しんで見れると思います。

 

 

 

最後に、ディープインパクトに改めて哀悼の意を表し、

競馬界への多大なる貢献と競馬を楽しくさせてくれたことに御礼を申し上げます。

ありがとうございました。