RM_horseの競馬コラム

RM_horseの競馬コラム

競馬についてあれこれ書きます。

追悼キングカメハメハ

 

8月9日、キングカメハメハが死にました。

ご冥福をお祈りいたします。

 

既に種牡馬の引退が発表されていましたが、余生を過ごした期間は短く、

ディープインパクトの後を追うように天国へと旅立ちました。

 

キングカメハメハディープインパクトと双璧の偉大な種牡馬です。

彼の功績も振り返っておきましょう。

 

 

・競走馬現役時代

まずは競走馬現役時代から振り返ります。

 

キングカメハメハは2003年11月の新馬戦でデビュー勝ちを収め、

続くエリカ賞(500万下)も勝利して2連勝で2歳シーズンを終えます。

 

年が明けた2004年、初重賞挑戦となる京成杯は3着に敗れてしまいましたが、

続くすみれステークス(OP)、毎日杯(G3)を連勝でクラシックの主役に躍り出ます。

 

しかし皐月賞には向かわず、NHKマイルカップから日本ダービーのローテを選択します。

これはいわゆる“マツクニローテ”と言われるローテーションで

調教師の松田国英がこだわり続けたものです。

1600mと2400mのG1を勝利することによって、種牡馬価値を高める狙いがありました。

しかし、中2週のローテとなるため、3歳馬には過酷で

どちらも勝利するのは難しいことです。

 

キングカメハメハの前に厩舎の先輩のクロフネタニノギムレットも挑みましたが、

クロフネNHKマイルは勝利したもののダービーは5着。

タニノギムレットNHKマイルは3着でしたが、ダービーは勝ちました。

 

少し話がそれましたが、キングカメハメハNHKマイルカップでG1に初挑戦します。

 

 

ここでは前半3Fが33秒9、4Fが45秒6というハイペースの中、

キングカメハメハは中団を追走し、直線ではどんどん伸びていき

2着コスモサンビームに5馬身差をつける圧勝。

勝ちタイム1分32秒5は当時のレースレコードでした。

まずはマツクニローテの1勝目を手にします。

 

そして、満を持して日本ダービーへと向かいます。

NHKマイルカップの圧勝のインパクトが強かったためか、

地方馬の雄コスモバルク皐月賞ダイワメジャーらを抑えて

1番人気に支持されています。

 

 

1000mの通過タイムが57秒6と、ここでもハイペースの展開になります。

ダイワメジャーが前目のポジションにつけており、かつ4コーナーで

コスモバルクが早めに仕掛けたため、キングカメハメハも離されまいと早めに進出します。

そのためダイワメジャーコスモバルクは早々に脱落し、

キングカメハメハにとっても厳しい展開ではありましたが

追い込んでくるハーツクライを1馬身半振り切り勝利しました。

勝ちタイムは2分23秒3でまたも当時のレースレコード。

松田国英調教師の悲願であるNHKマイルカップ日本ダービーの2冠を達成しました。

 

その後夏は休養にあて、神戸新聞杯から天皇賞・秋を目指しますが

神戸新聞杯は問題なく勝利した後、天皇賞・秋の前に屈腱炎が判明します。

既に大きな実績を挙げていたこともあり、種牡馬として期待されていたため

そのまま引退しました。

 

生涯成績は8戦7勝。

京成杯の3着以外は全て勝利しました。

 

 

種牡馬時代

シンジケートは総額21億円と当時の最高額が組まれ、

当初から期待が高かかったことがわかります。

 

ディープインパクトの記事と同様に、

キングカメハメハ産駒のG1勝ち馬をまとめました。

 

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G1馬は計14頭、37勝はお見事です。

ディープインパクトに比べると数字は見劣りしますが、

サンデーサイレンスの血を持たずにこの成績は素晴らしいと思います。

もちろんサンデーサイレンス系の牝馬と交配出来るという利点はありますが、

リーディングサイアーランキングはキングカメハメハ以外

サンデーサイレンス系がほとんどを占めます。

キングカメハメハの奮闘はすごいことだと思います。

 

ただ、キングカメハメハ種牡馬評価を

サンデーサイレンス牝馬の恩恵と片付けてしまうのは失礼です。

確かに上記14頭のうち、サンデーサイレンスの血を持つのは7頭と半数を占めますが

逆の言い方をすれば半分はサンデーサイレンスの血を持たないのです。

しかも、最高傑作と言える短距離馬史上最強のロードカナロア

さらに牝馬3冠のアパパネやダートでG1通算10勝のホッコータルマエ

サンデーサイレンスの血を持ちません。

サンデーサイレンスを必要としなくても大物を出しています。

 

また、表を見ればわかるように、G1馬14頭の内、牡馬が12頭を占めます。

なので後継種牡馬に関しては全く心配されておりません

既にロードカナロアは史上最強クラスの牝馬アーモンドアイを輩出しています。

さらにルーラーシップ産駒も堅実に成績を残していますし、

来年デビューのドゥラメンテ産駒も評価が非常に高いようです。

 

このように種牡馬として十分すぎるほどの実績と後継種牡馬を残し

2018年の種付けを持って種牡馬を引退しました。

 

2019年からは功労馬として余生を過ごすことになりましたが

体調不良が数年続いており、8月9日にこの世を去りました。

最後は目も見えていなかったそうです。

 

 

キングカメハメハの功績

やはりキングカメハメハは後継種牡馬をしっかりと残せていることが大きいです。

前述の通りサンデーサイレンスに頼らなくてもロードカナロアルーラーシップ

輩出しているのは日本競馬にとってかなり大きいはずです。

サンデーサイレンスの血の飽和は避けられませんが、

キングカメハメハ系の存在は選択肢が広がるため非常に大きいです。

 

さらにロードカナロアも後継種牡馬を残してくれれば、キングカメハメハの血は

脈々と受け継がれることでしょう。

後継種牡馬を残すということはとても重要なのです。

 

 

 

 

日本の競馬界を支えた種牡馬であるディープインパクトキングカメハメハ

時を同じくしてこの世を去りました。

あまり非科学的なことは言いたくありませんが

運命のようなものを感じざるを得ません。

きっと今頃、この世で実現できなかった2頭のマッチレースを

天国で行われているのではないでしょうか。

 

そのレースを我々は見ることができませんが

2頭に匹敵するようなスーパーホースの誕生を待ちわびながら

今週末も競馬を楽しむことにしましょう。