RM_horseの競馬コラム

RM_horseの競馬コラム

競馬についてあれこれ書きます。

そろそろ欧州コンプレックスやめませんか?

 

10/6 凱旋門賞に日本馬3頭が出走しましたが

キセキの7着が最高で、1着馬との着差もかなり離されていました。

 

日本の競馬ファンの大多数は応援しつつも勝つのは難しいだろうと

考えていたと思いますので、勝てなかったこと自体へのショックは無いと思いますが

有馬記念札幌記念を勝利したブラストワンピースがブービー

特に菊花賞天皇賞・春を勝利したフィエールマンが最下位というのは

ショックがあったのだと思います。

 

これを受けて日本馬は弱い、劣化している、

日本の馬場はおかしい、ガラパコス化している

といった意見が多くを占めているようです。

 

ここで改めて私の凱旋門賞および海外遠征の考え方を記してみます。

以下に記すことは、何度か本ブログにて書かせていただいておりますので

重複する部分があります。

 

 

・競馬もダイバーシティの時代

近年よく耳にする言葉である「ダイバーシティ」。

直訳すれば「多様性」であり、主に経営において使われている単語です。

人種、宗教、国籍、性別、障害、年齢など様々な個性のある人を

採用して経営に生かしていく取り組みをダイバーシティ経営と言います。

これはマイノリティをただ単に支援しようということではなく、

人それぞれに得意分野があるのだから、

その得意分野に合わせた役割を配置することによって

会社に利益貢献にもプラスになっていくという特徴があります。

 

競馬の世界でも同じではないでしょうか?

当たり前ですが馬にも得意不得意な条件があるのです。

芝が得意な馬とダートが得意な馬がいるのも個性、

左回りが得意な馬と右回りが得意な馬がいるのも個性、

平坦なコースが得意な馬と起伏が激しいコースが得意な馬がいるのも個性、

大抵の人が既に予想に取り組まれているのではないでしょうか?

 

それと同じように欧州の馬場が得意な馬もいれば、

日本の馬場が得意な馬もいるのです。

どちらが強い弱いではありません。決められません。

それは昨年のアメリ3冠馬ジャスティファイとエネイブルのどっちが強いかを

議論するくらい愚かなことだと感じます。

凱旋門賞で日本馬が惨敗したからといって、日本馬が弱いわけではないのです。

 

 

・なぜ馬場に差があるのか?

日本の馬場が欧州の馬場と違いすぎるから勝てない、

だから日本の高速馬場を考え直せ、という意見が非常に多いです。

 

当たり前のことを忘れている人が多いようなので書いておきます。

芝は植物です。

植物の育成は環境(気温、湿度、日照時間、降水量、降雪量)によって変わります。

欧州と日本は環境が違うので、同じ馬場にはなりません。土壌も違うでしょう。

日本の中でも札幌と函館は洋芝ですが、それでも環境が違うので一緒にはなりません。

欧州の中でもイギリスとフランスではまた違う馬場になっているでしょう。

 

もう一つ大きく異なることは、日本は年がら年中競馬を開催しているということです。

使われる回数も多いので、馬場の維持にはかなりの労力を注いでいるはずです。

(欧州が労力を割いていないと言っているのではありません。)

例えば水はけにしてもそうです。

水はけが悪いと、台風が一回くるとその開催はずっと重・不良馬場になりかねません。

年間の開催を維持するためにも独自の発展をしていったのだと思います。

 

そもそも、馬場造園の技術が向上したことに対して文句を言う人が理解できません

なぜ高速馬場がダメなのでしょうか?

故障率と高速馬場には因果関係が無いことはJRAの研究所や

ジャーナリストの小島友実氏が客観的なデータに基づいて指摘しています。

それに反論するなら主観的ではない、それなりの根拠が必要です。

 

欧州からかけ離れると文句を言う人の違和感は、

例えるならウサイン・ボルトが速すぎておかしい、

もっとタイムが出にくいトラックにしろと文句を言っているようなものです。

むしろ欧州が日本のように速く走れる馬場にできるように

工夫するべきなのかもしれませんよ?

 

また、日本の馬場が変化したことを指摘する人は多いですが

欧州の馬場も変化した可能性を指摘する人は少ないです。

そういう可能性もあると思っています。(むしろその可能性が高いのでは?)

 

ここ数年で日本だけでなく欧州も気候はかなり変化しています。

エルコンドルパサーの時代からは当然変化しているでしょうし、

オルフェーヴルの時からも変わっているかもしれません。

気候の変化を考慮すれば、そう考える方が自然です。

 

 

・競馬に統一した世界大会は無く、全世界がガラパコス

今まで記してきた通り、競馬は各国で馬場も環境も違います。

凱旋門賞が世界最高峰のレースと呼ばれているようですが

それは欧州基準の環境での話であり、統一されたレギュレーションはありません

 

日本は速く走れるサンデー系やキンカメ系が強く、1600〜2000mが得意。

欧州は重厚なGalileo系が強く、2000〜2500mが得意。

アメリカはダートが得意。

香港は短距離が得意。

オーストラリアは3000mを超える長距離が得意。

それでいいじゃないですか?

 

日本馬が凱旋門賞を勝てないからといって恥ずかしいことは一つもないのです。

そういう発言は不必要な欧州コンプレックスだと思います。

私は競馬歴が浅いので、まだ日本競馬が発展途上の頃を存じませんが

今は客観的に見て、日本の競馬が世界一だと思っています。

なので凱旋門賞を勝てなくても、なんとも思いません。

ディープインパクト産駒は凱旋門賞を勝てないからダメと言う人もいますが

日本でたくさんのレースを勝っています。

逆にGalileo産駒が日本でなかなか勝てなかったです。

ただ単に日本の競馬場にディープインパクト産駒がフィットして

フランスの競馬場にGalileo産駒がフィットしただけの話です。

 

どこの国の競馬もそれぞれ特徴があり、

その場所の環境や歴史に合わせたガラパゴスなのです。

 

どうしても全世界でレギュレーションを合わせたいのなら

陸上のトラック競技のようにポリトラックで平坦にするしかありません。

それが面白いかどうかはわかりませんが、全世界で同じ血統しかいなくなりそうです。

かつて、ドバイワールドカップオールウェザー(ポリトラック)で実施していましたが

アメリカ馬が出走しなくなり、ダートに変更した経緯もあります。

 

 

・なぜ凱旋門賞に挑戦するか?

なぜこぞって凱旋門賞に挑戦しようとするか考えてみました。

 

1つ目はなんといっても歴史です。

大昔からあるレースであり、権威もあります。

そして世界に通用する馬を育てる時の合言葉が

凱旋門賞を勝つということだったのだと思います。

日本のホースマンがずっと目標にしてきた歴史があります。

 

2つ目は日本競馬の評価の低さです。

アーモンドアイがジャパンカップを驚愕の世界レコードで勝っても、

ロンジンのワールドレーティングは124とそこまで上がらないところをみると

非常になめられています。

(私はワールドレーティングなんて何のあてにもならないと思っていますが)

国際競走でたくさん勝利することで、地位を上げたいと考えているのではないでしょうか?

特に最も権威のある凱旋門賞を勝つことは、日本競馬がなめられないことに繋がるでしょう。

 

3つ目は生産者の話ですが、海外に馬を売りたいと目論んでいるはずです。

今でもディープインパクト産駒がセレクトセールで売れたり、

繁殖牝馬が交配のために日本にやってきたりしていましたが

もっと競走馬も種牡馬売りたい、という考えはビジネスにおいて当然です。

 

 

・挑戦自体は否定しないが

いろいろ書いてきましたが凱旋門賞に挑戦すること自体は否定はしません。

私としては、日本のG1シーズンなので適性のあるレースに出る方が

いいのではないかと思いますが、それは馬主さんの考えなので自由です。

 

ただしそれは個人の馬主さんが個人のリスクで挑戦する場合です。

今回、ブラストワンピースとフィエールマンというクラブ馬2頭が遠征し惨敗しました。

これは最低な結果です。

クラブ馬は金融商品なのですから、利益を追求しなくてはなりません。

2頭とも、凱旋門賞へ出走しなければ天皇賞ジャパンカップ有馬記念の中から

1,2レースは出走できたはずです。

そしてどれかを勝つ可能性も十分にありました。むしろ有力候補です。

さらに数千万円かかる莫大な遠征費は出資者が負担しています。

これは出資者への補填が必要な話だと思います。

 

金融庁はしっかりとシルク、サンデーの両クラブに釘を刺すべきです。

このあたりの話は過去に書きましたので、もしよければ参照ください。

クラブ馬の海外遠征の是非 - RM_horseの競馬コラム

 

会員にリスクだけ負わせて、数打ちゃ当たると人のお金で挑戦をさせているのが現状です。

そんな甘い考えで勝てるとは到底思えません。

もちろん遠征に向けて努力もしていることは知っていますし

検疫ができるように環境を整えることも大変でしたでしょう。

でもそんなことは関係ありません。

ノーザンファーム系クラブのやっていることは下衆です。

どうしても凱旋門賞を勝ちたいなら、自分で馬を所有したらいいのです。

 

 

 

最後はただのノーザンファーム系クラブの批判になりましたが、

私の考えを記してみました。