RM_horseの競馬コラム

競馬についてあれこれ書きます。

亀谷敬正氏の功罪

 

個人攻撃にもなりかねないタイトルをつけました。

(批判も書きますので、攻撃といえば攻撃ですが)

 

亀谷敬正氏の血統理論は、競馬ファンがより競馬を楽しむための

貢献は計り知れないものがあると思っています。

 

しかし、その一方で彼の発信によって事実かどうか判明していない

レッテルを貼られた種牡馬も多いのではないかと感じています。

そんな彼の功罪をまとめてみます。

 

 

亀谷敬正氏の功:血統をわかりやすくした

亀谷敬正氏は競馬における血統理論を一般化した人物だと思っています。

大昔から血統理論が競馬界にあったのは間違いないですが

競馬ファンの中でも本当にコアな人しか使っていなかったと思います。

 

今でこそ競馬場に若者も増えたと思いますが、

それでも競馬場にいる1番多い年齢層は60代以上でしょう。

地方競馬に行くとより顕著になります。

その人たちのほとんどは、最近競馬を始めたビギナーではなく

何十年も競馬を楽しんできたベテランばかりでしょう。

 

競馬場で近くで予想している人の声が聞こえてくることがよくありますが、

そういったベテランとおぼしき方々から、血統の話はまず聞きません。

せいぜい父馬の名前くらいです。

「この人血統詳しいな」という会話をしている声の主は

30〜40代であることがほとんどです。

 

これは想像ですが、一般の競馬ファンが血統の話をするのが普通になったのは

ここ20年くらいの、比較的新しいことではないかと思います。

亀谷氏は、競馬ファンが血統に入り込む敷居を下げた人物でしょう。

 

亀谷氏の話はわかりやすいのです。

もちろんそれでも亀谷氏の話を理解するのには

それなりの競馬の知識は必要ですが、1年くらい競馬をやっていれば

理解できるように工夫して話しているのがわかります。

 

他の血統評論は(全てとは言いませんが)主要な種牡馬繁殖牝馬

5代血統表が頭に入っている前提で話すので、

いちいち調べるのがおっくうで、読む気にならないのです。

 

その点亀谷氏は種牡馬を大きく日本型、米国型、欧州型の3つに分類

何十何百といる種牡馬をまとめています。

おそらくこれがわかりやすい要因の一つです。

 

例えば東京芝コースにおいて、ディープインパクト産駒の

勝率や連対率が高いことは簡単に調べられますが、

ただ単にディープインパクト産駒をベタ買いするのではなく、

東京コースでは父ディープインパクトに母米国系がいいですよとよく聞きます。

ですが、たいていの人は

「母父を見ても米国系なのか欧州系なのかわからない」

となります。

 

そこで亀谷氏が無料で提供している「smart出馬表」を使うと、

スマート出馬表

種牡馬のタイプが色分けされているので、

かなりわかりやすくなっています。

 

これがどれくらいわかりやすくなったか、例え話をひとつしてみます。

競馬場のスケッチをしてくださいと言われた時に、

渡された色えんぴつが150色くらいあるのがよくある血統理論なのです。

芝は薄緑なのか、深緑なのか、それとも◯◯グリーンなのか・・・

というような初心者からすると

「わかんねえよ!どう違うんだよ!」

と言いたくなりますよね。

 

そんな状況だったのですが、色えんぴつを10色に減らして

芝の色は緑でいいよと言ってくれたのが亀谷氏だと思っています。

 

 

亀谷敬正氏の功罪:ケースバイケースを一旦排除

上記のように血統をわかりやすくしたのですが

気になるのは全ての馬に当てはまるわけではないことです。

血統傾向が抜群でも凡走することは当然ありますし、

東京芝コースで欧州血統やダート向きの血統の馬が勝つこともあります。

そして、そんな馬でも5代血統表を細かく見てみると、

東京に向く要素があったりします。

 

簡略化するとケースバイケースを拾えないのは当然で、

書籍やYouTubeでの発信では一旦、例外は排除しています。

(もちろん亀谷氏も個別のレース予想では

 ケースバイケースを考えて理論を展開しています)

 

ケースバイケースを排除することでわかりやすさはありますが

当然、例外も多々あります。

 

しかし、その例外が例外と言っていいレベルでは無く発生するのが問題です。

 

 

亀谷敬正氏の罪:高確率あるいは必ず起こるような語り口

上ではケースバイケースを一旦排除していると書きましたが、

例外が本当に低確率なら皆納得なのですが、わりと起こるのです。

 

そりゃ当たり前です。

その血統がそのコースでいいと言っても

勝率はせいぜい3割、複勝率5割程度でしょう。

相対的にいいというだけで、2回に1回は馬券になりません。

 

高確率といったら一般的には7〜8割です。

それくらいの確率で馬券になるのなら大風呂敷広げてもいいですが

5割程度でも「他の条件より率が高い」というだけで

さも高確率、捉えようによっては必ず馬券に来るかのように

語ってしまうのが亀谷氏です。

 

本人は馬券に絶対はないことは当然わかっていますし、

高確率なんて一言も言ってないと否定するでしょう。

しかし語り口が断定的で、そのコースに合わない血統傾向の馬券を買う人を

勉強不足だと言ってしまうので、当たらなかった時の反発も大きいです。

(これは彼が出演している競馬予想TVのコメンテーター皆ですが)

 

 

・非科学的、非統計的なアプローチによる名誉毀損

勝率、複勝率、回収率などのデータがあるときはまだいいです。

彼の1番の問題はそのデータを示さずに非科学的なことを断定的に話すことです。

 

個人的に最も腹立たしいのは

ディープインパクト産駒にはガッツが無く、ステイゴールド産駒にはガッツがある

ということを何度も言うことです。

 

これ、何の根拠も無いです。本当に印象だけです。

根拠なく根性がないなんて、ただの差別です。

私自身、いわゆるゆとり世代に片足突っ込んでおり、

20代前半のころはゆとり世代だからどうこうよく言われました。

話したこともない奴に。

世間的にもゆとり世代は世代まとめてめちゃくちゃ言われました。

それと同じことを彼は言っているわけです。

 

そしてこのディープインパクトに対する根拠のない印象は一人歩きしています。

貧弱な印象を持っている人がかなりいるようで

ネットではよく目にします。人間ならただの名誉毀損です。

 

別に馬券に生かすための持論としてそういう考えを持つのは自由です。

しかし亀谷氏(だけとは言いませんが)のせいでディープインパクト

良からぬ印象を持たれていることは間違いありません。

 

よく亀谷氏は

「自分の馬券理論はサンプル数が少なく、統計学的ではないと指摘されるが

 サンプル数が揃ってからでは馬券で儲けることができない」

と言います。それはその通りですが、

だからといって統計的に根拠のない持論をまき散らして良い理由にはなりません。

 

 

・例外的産駒を特徴として表現してしまう

あと、彼は例外的な産駒をその種牡馬の特徴として言ってしまうことが多いです。

 

まずはロードカナロア

亀谷氏はロードカナロアのことを母系の特徴を引き出すので、

アーモンドアイやサートゥルナーリアといった2000m以上も対応できる馬を出すと言いますが

その2頭の他に2000m以上の重賞を勝ったのはキングオブコージとアールスターくらい

他のオープン馬はほぼ全て1600m以下のレースを勝ってきた、主戦場にしている馬です。

むしろ2000m以上を走る馬の方が例外的で、ロードカナロアはマイル以下の距離の種牡馬です。

 

そしてディープインパクト

牝馬の活躍が多いと言います。

ジェンティルドンナマリアライトなどの印象でそう言うのだと思いますが

G1勝ちの頭数は牡馬の方が多いくらいです。

参考:追悼ディープインパクト 〜種牡馬編〜 - RM_horseの競馬コラム

※昨年の記事なので、ワールドプレミアとコントレイルは入っておりません。

 

むしろ牡馬だろうと牝馬だろうと強い馬をたくさん出しているのが

ディープインパクト産駒です。

 

こういったように事実でないことも口走ってしまうので

競馬ビギナーの人は気をつけた方がいいです。

 

 

・最後に、なぜこのコラムを書いたか?

亀谷氏を批判する内容になりましたが、

なぜ、こんなコラムを書いたのか?

 

それは競馬歴は浅いけれどかなり競馬に詳しい、という人と接するときに

ほぼ確実に亀谷氏の理論の影響を良くも悪くも受けているのです。

 

彼は上記のようにデータのない(出揃っていない)ことも事実のように言いますから

データを示してくれた部分のみを聞くだけでいいと思っています。

 

ただし、彼のわかりやすい血統理論自体は素晴らしいですから

競馬ビギナーにとっては勉強になります。

私も彼がいなかったら、血統はさっぱりでした。

(今も詳しいわけではありませんが)

 

全部鵜呑みにしてはいけませんが、勉強にはなるのです。

亀谷氏の話だけでなく競馬予想でも何でもそうですが

情報の取捨選択はしっかり考えましょう。