RM_horseの競馬コラム

RM_horseの競馬コラム

競馬についてあれこれ書きます。

好きな馬はノンコノユメ

 

私の好きな馬はノンコノユメです。

 

競馬にそこまでハマった人でなければ、馬券関係なく馬が好きになる感覚はわからないことでしょう。

 

しかし、馬も生き物です。

馬券だけではない魅力もつまっています。

今回、この馬のことを書くことで競馬の魅力を伝えられれば幸いです。

 

 

・生い立ち

ノンコノユメが好きな理由を書く前に、まずはノンコノユメがどんな馬か

詳しく記していきます。

 

ノンコノユメは父トワイニング、母ノンコという血統です。

ノンコノユメの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

 

ノンコという可愛らしい名前は母から来ています。

そのため、女の子と勘違いされますが、男の子です。(現在はせん馬

ちなみにノンコという名前は、馬主さんのご息女の愛称だそうです。

ノンコは活躍を期待されていたようですが、重賞は勝てず引退となります。

ノンコはお母さんとなり、生まれた馬に

ノンコが叶えられなかったビッグレースを勝利する夢を託して

ノンコノユメと名付けられました。

 

 

 

・デビューから3歳ダートの頂点に立つまで

ノンコノユメは2歳の秋、2014年11月23日の東京6R ダート1600mでデビューします。

このデビュー戦を後方からの豪快な差し切りで勝利します。

実はこのレースをたまたまWINSで観戦していて、その豪快さを鮮明に覚えていました。

当時はまだ競馬を始めたばかりで、月に1回程度しか競馬を見ていませんでした。

だからこそ覚えていたのだと思います。

 

その後明け3歳となり、500万下の条件戦をデビューから4戦目で勝ち上がり

(このあたりはリアルタイムで見ていませんでした・・・)、

オープン競走の伏竜ステークスに挑戦します。

このレースは5着に敗れてしまいました。

ここまではデビューから5戦2勝とトップとは言えない実績です。

 

しかし転機は次の青竜ステークスでした。

初めて鞍上にルメール騎手を迎えると、ほぼ最後方からの豪快な差し切り勝ち。

オープン馬の仲間入りとなります。

 

続くG3ユニコーンステークスでも末脚が炸裂し連勝。

初めての重賞タイトルを手にしました。

ある意味既にノンコの夢を叶えています。

 

しかしこれだけではありません。

続く3歳ダート王決定戦となる G1ジャパンダートダービーでは

大雨で水が浮いた田んぼのような不良馬場の中、

ノンコノユメの底力が爆発します。

 

 

まさに実況の通り正夢となりました。

1番人気クロスクリーガーが逃げ切りをはかるところに

残り100mでとんでもない加速を見せて豪快な差し切り。

ノンコノユメは見事3歳ダート馬の頂点に立ちます。

 

しかし、これは最強ダート馬を目指す道のりの序章です。

 

 

 

・3歳秋から4歳の夏まで

ジャパンダートダービーを勝ったノンコノユメは少しの休養に入ります。

照準を12月のG1チャンピオンズカップに定めます。

 

前哨戦として選んだレースは11月2週目に実施される武蔵野ステークスでした。

このレース、斤量は別定となっていて

7月にG1を勝ったノンコノユメは3歳馬ながらトップハンデの58kgを背負います。

この斤量はルールといえど不当とも思えるものでした。

なぜ3歳馬が古馬に混じっているのにトップハンデになってしまうのか?

そのため別路線を歩んでいた同じ3歳馬モーニンに人気を譲り

ノンコノユメは2番人気でした。

このころすっかりノンコノユメのファンになっていた私は

「2番人気とは競馬ファンノンコノユメを舐めやがって・・・」

と思っていました。

 

しかしノンコノユメは強かった。

初の古馬との対戦、斤量58kgをもろともせず

先行勢有利な馬場でも差し切り勝ち

一気にチャンピオンズカップの主役候補に躍り出ます。

この頃のダートの勢力は、最終的にG1を通算11勝するコパノリッキー

前年のチャンピオンズカップを制し、G1を10勝するホッコータルマエが2強。

ここにノンコノユメが挑戦する形になりました。

 

そして2015年12月5日、チャンピオンズカップを迎えます。

私も現地で観戦し、勝利を疑いませんでした。

しかし、中団から抜け出したサンビスタを捕らえることはできず、

ノンコノユメは2着となりました。

レース後がっくりと肩を落としたことを覚えています。。

 

その後暮れの東京大賞典はパスし、3歳シーズンを終えました。

明け4歳は前哨戦を挟まずに

2月のG1フェブラリーステークスを目指すことになりました。

ユニコーンステークス武蔵野ステークスを勝っているため東京は得意中の得意。

今度こそ勝利を期待していましたがまたもや2着。

 

さらにかしわ記念コーナリングが苦手なノンコノユメは対応できずに4着。

その後ジャパンダートダービーと同じ大井2000m帝王賞では期待されながらも2着。

これで古馬G1で2着が3回となりました。

頑張ってはいるもののあと一歩で勝利がつかめず、もどかしさを感じました。

 

 

 

・去勢、そして低迷期へ

帝王賞の後、衝撃的なニュースが飛び込んできました。

ノンコノユメ去勢をすることになりました。

気性が荒くなり、人への危害が懸念されるということで苦渋の決断のようです。

しかしそれは種牡馬にはなれないことを意味します。

ノンコノユメの子供が走ることも夢みていた私はショックでした。

 

さらに追い討ちをかけるように、この後長い低迷期に入ります。

勝利はおろか、3着以内に入ることもできません。

この低迷により、ノンコノユメは競走馬の一番脂の乗った時期である

4歳、5歳を未勝利で過ごすことになります。

 

去勢により気性の面は解決したようですが

それは同時に猛烈な末脚で追い込んでくるノンコノユメの闘争心も

削ぎ落としてしまったようでした。

 

ノンコノユメは去勢して終わった」

 

そんな声がよく聞こえてくるようになりました。

競馬新聞の予想欄でノンコノユメに印がつくことは1戦ごとに減っていったのです。

 

 

 

・誰もが驚いた復活劇

ノンコノユメは復活の兆しが明確に見えないまま2018年を迎えました。

2015年、3歳でダート界の主役候補に躍り出たかつての新星は

2年以上勝利がないまま既に6歳となっていました。

 

この年はいつもと違い、1月の根岸ステークスから

フェブラリーステークスを目指すローテーションとなりました。

鞍上もかつての主戦であるルメール騎手から見放され

ここから内田騎手が手綱をとります。

 

しかしこれが転機となりました。

根岸ステークスではかつての豪脚を取り戻し

直線一気のごぼう抜きで見事差し切りました。

実に2年2ヶ月ぶりの久々の勝利となりました。

さらに東京競馬場レコードタイムのおまけ付き。

これは興奮しました。

 

勢いそのままにG1フェブラリーステークスに3度目の挑戦をします。

前走の勝利はフロックと見られていたためか、

根岸ステークスで負かせたサンライズノヴァにも劣る4番人気でレースを迎えます。

 

 

レースはいつも通りの後方のポジションから直線での強襲を狙います。

直線では早め先頭のゴールドドリームとの差をジリジリ詰めます。

残り100mでさらに追い詰め馬体を併せると、

粘るゴールドドリームを交わしたところがゴールでした。

待望の古馬G1、JRA G1初勝利を手にしました。

本当に嬉しかったです。

ウイニングランで歓声に答えるかのように首を上下させる姿は

なんとも誇らしげに感じました。

 

去勢から約1年半、やっとノンコノユメの闘争心が戻ってきたようでした。

 

 

 

・新たな課題と低迷

フェブラリーステークスを勝利した後、明らかに合わないかしわ記念は4着でした。

夏は帝王賞を目指さず休養に充て、秋は盛岡の南部杯から始動します。

しかし、ここから新たな課題が見つかります。

それはスタートです。

後方からの追い込み脚質であるため、元からスタートの良い馬ではありませんでしたが

致命的な大きな出遅れをするようになりました。

この出遅れはその後しばしば見られ、6歳シーズンはフェブラリーステークス以降

3着以内に入ることはありませんでした。

 

2019年に入り、ノンコノユメは7歳とベテランと言われる年齢になりました。

しかしスタートの出遅れは解消せず、

連覇を狙うフェブラリーステークスは13着と大敗。2桁着順は初めてでした。

さらに初めてのドバイ遠征でも大出遅れで10着。

 

このレースの後、ノンコノユメJRAの競走馬登録を抹消され、

地方競馬の大井へ移籍することが発表されました。

 

 

 

・2度目の奇跡の復活

大井の荒山厩舎に移籍したノンコノユメの初戦は帝王賞となりました。

7歳での見限られたかのような地方競馬への移籍。さらに今回はドバイ遠征帰り。

常識的に考えれば通用するはずがありません。

戦前の調教師のコメントも疲れている様子で負荷をかけられなかったとか

歯切れの悪いものばかりでした。

実際に能試でも元JRA所属のエピカリスに1秒以上も離されており、

そのエピカリスもオープン競走で3着に敗退という結果でした。

 

私も応援しつつも、もう引退して休ませてあげてもいいんじゃないかとか

走るならまずは無事にという願いが強かったです。

そんな想いの中、レース当日を迎えます。

 

 

しかし、ノンコノユメは復活します。

ゲートを5分に出ると直線では猛然と追い込み、

勝つことはできなかったものの3着。

2018年のフェブラリーステークス以来、久々の3着以内となりました。

低迷から2度も復活を果たしてくれました。

泣かせてくれます。

この復活は奇跡と言えると思います。

 

7歳ながらも今後のさらなる活躍を期待している現状です。

 

 

 

ノンコノユメの好きなところ

上記の長文を全てお読みいただいた方なら、ノンコノユメの魅力は十分承知と思います。

もうダメかな?と思わせてから復活してくれます。

 

未だに人気の高いかつての名馬の1頭に、オグリキャップがいます。

オグリキャップは引退レースの有馬記念を勝利しましたが、

その前まで大敗続きで、もう終わったと思われていました。

しかし最後と決めた有馬記念では奇跡的な復活を果たして勝利。

30年経った今でも語り草です。

 

それに似た復活を2度も見せてくれたのがノンコノユメです。

決して順調ではないですが、その分復活時の喜びはひとしおです。

 

レースの面では残り100mからの追い抜きが凄まじいです。

特に2018年フェブラリーステークスではゴール前で耳を畳んでいました。

これはいわゆる“ブチギレ”のサイン。

抜いてやるぞこの野郎!ということです。

ゴール板を通過すると耳はいつも通り立ち上がりました。

おそらくノンコノユメはゴールを知っているのでしょう。

ダートレースは追い込みが不利ですが、

それでも最後に差し切る姿は最高にカッコいいです。

 

 

 

・最後に

ノンコノユメへの愛が溢れ、随分と長くなりましたが

皆さんも同じように好きな馬を見つけてみてはいかがでしょうか?

きっと競馬が楽しくなります。