RM_horseの競馬コラム

RM_horseの競馬コラム

競馬についてあれこれ書きます。

父子で無敗の三冠馬 〜コントレイル〜

 

すみません、アップしたつもりでアップしていなかった

今更の記事です。

 

前回、デアリングタクトについてこれでもかと書きました。

もちろんコントレイルについても書きます。

 

 

・コントレイルの軌跡

コントレイルのこれまでの経歴を振り返ります。

 

コントレイルは2019年9月15日、

阪神競馬場芝1800m2歳新馬戦でデビューします。

調教の動きが良く、新馬戦から注目されており

単勝1.7倍の1番人気に支持されます。

レースでは3,4コーナーで進出し、

直線を向くと外から早めに先頭に立ちます。

手応えが抜群といった感じでノーステッキで

後続を突き放して2着に2馬身半差の快勝でした。

 

2戦目に東スポ杯2歳Sを選択。

アパパネの仔で2戦2勝のラインベックや

新馬戦で阪神2000mで上がり3F33.6の脚を使ったアルジャンナもいましたが

差しおいて1番人気に支持されます。

 

そして圧巻のパフォーマンスを見せます。

直線では後続を置き去りにグングン突き放し

2着と5馬身差の圧勝でした。

勝ちタイム1分44秒5は従来のレコードを1秒以上更新し、

馬場状態は違いますが、その年の古馬重賞である

同コースの毎日王冠のタイムに匹敵するものでした。

この勝利で一気に翌年のダービー馬候補として注目されます。

 

クラシックの出走も問題ないくらい、賞金は十分に加算しましたが、

陣営は年末のG1ホープフルSに出走させます。

新馬戦の阪神や前走の東京とは違い、時計がかかりやすい中山で

さらに起伏の激しいタフなコースですが

ここでも1番人気に支持されます。

レースでは1周目に少し折り合いを欠く場面はありましたが

直線では余裕を持ってスッと先頭に立ち、

追いすがる2着馬は全く差を詰められず、危なげなく勝利。

G1タイトルを予定調和のようにあっさり手にしました。

 

ホープフルS後に放牧に出ると、皐月賞の直行を発表。

これは前年に皐月賞を制したサートゥルナーリアと同様のローテでした。

 

そして迎えた皐月賞。しかし強力なライバルが1頭いました。

前走でもう一つの2歳G1の朝日杯FSを圧勝していたサリオス

コントレイルと同様に皐月賞に直行してきていました。

さらにサリオスもまた3戦3勝の重賞2勝で無敗であり、

無敗の2歳王者対決で完全に2強ムードになりました。

 

レースではサリオスが朝日杯と同様に先行、

コントレイルは後方からレースを進めました。

直線では先行して早めに先頭に立ったサリオスと

外を回してきたコントレイルとの激しい叩き合いになりました。

しかしゴール前でコントレイルがグイッと半馬身前に出て勝利

無敗対決を制して一冠目を手にしました。

2着と3着は3馬身以上差がついていたので、まさに2頭の頂上決戦でした。

 

無事に怪我もなくダービーに進みます。

ドゥラメンテ以来の二冠

そしてディープインパクト以来の無敗の二冠がかかっています。

皐月賞で接戦だったサリオスもいましたが、

東スポ杯2歳Sでのパフォーマンスや血統背景から

東京では有利と考えられ、単勝1.4倍と人気がかぶりました。

 

そしてレースがスタート。

皐月賞とは違い、コントレイルが3〜5番手と前につけ、

サリオスは10番手と後ろからの競馬になりました。

もうこのポジションになった時点でコントレイルの勝ちは決まりました。

東京コースの直線でコントレイルに末脚勝負は勝てません。

直線で後ろから必死に追い込むサリオスを尻目に

残り200mでグングン引き離します。

サリオスに3馬身もの差をつけて圧勝で二冠を達成しました。

 

勝利後、陣営は神戸新聞杯から菊花賞に向かうことを発表します。

ディープインパクトと同様のローテーションで

父以来の無敗の三冠馬を目指すことになりました。

(三冠はオルフェーヴル以来)

 

夏は放牧先でしっかり英気を養ったコントレイル。

まずは前哨戦の神戸新聞杯では

単勝1.1倍の圧倒的1番人気で出走。

ほぼ調教のような走りで危なげなく勝利し、

競馬ファンは無敗の三冠馬の誕生を確信しました。

 

そして菊花賞でも圧倒的1番人気の単勝1.1倍。

誰もコントレイルが負けるなんて考えてもいません。

 

しかし、前週の秋華賞で無敗の三冠牝馬となったデアリングタクトと同様に、

コントレイルの三冠達成も簡単にはいきませんでした。

 

スタートはまずまずで6,7番手を追走します。

しかし向正面で折り合いを欠く仕草を見せ、

嫌な予感がしました。

 

最後の直線に入ると早めに先頭に立つも、

スタートからずっと隣でマークされていたアリストテレス

馬体を併せてきてついてきます。

皐月賞で差し切りはあったものの、

直線で抜け出した後に追いすがってくる馬はこれまでいませんでした。

 

コントレイルは道中で折り合いを欠いたためにいっぱいいっぱい。

アリストテレスは折り合いが問題なく手応えもあるようでした。

これは差されてもおかしくありません。

というより普通の馬は差されます。

 

しかしコントレイルは根性も一流でした。

「一度も差せるとは思わなかった」

とレース後にアリストテレスルメール騎手が語ったように

接戦ながらもしっかりと抜かせずに1着。

ディープインパクト以来、無敗の三冠を達成しました。

 

 

・今、三冠を達成したのがすごい

私の中では現時点でのコントレイルのベストレースは

驚愕のレコードで勝利した東スポ杯でも、

圧倒的な力を見せつけたダービーでもなく

薄氷の勝利に見える菊花賞です。

 

競馬ファンの中には、条件馬だったアリストテレスに迫られ、

接戦の勝利だったことでコントレイルの底が見えたという人もいます。

しかし、私はそうは思いません。

 

その馬の得意なコース、得意な馬場で力を見せつけるのは、

当たり前とまでは言わないですが、納得できることです。

自分の力の出しやすいレースを選び、

苦手なレースを避けるのは当然です。

 

ベストではない、むしろ苦手な条件でも

上位に食い込むことが出来る馬というのは“本物”なのです。

 

コントレイルはこれまでのレースぶりを見ても、

血統から考えても、東京競馬場の高速馬場との

相性がいいことは明らかです。

 

しかし、菊花賞京都競馬場での開催。

京都競馬場の馬場は近年、特に秋冬はタフな馬場になっています。

さらに10月は雨が多かったこともあり、

当日に雨が降っていなくても、非常にタフな馬場でした。

 

ディープインパクト菊花賞で上がり3F33秒3を記録していますが

今はそんな上がりは1200m戦でも出ません。

上がりのタイムだけ見てディープインパクトと比べるのは

大きな筋違いであることがわかると思います。

 

高速馬場が得意なコントレイルにとっては、

菊花賞は真逆の条件。

さらに道中でも折り合いも欠きました。

 

そんな向かい風だらけの中でも勝ってしまうのが

コントレイルのすごいところなのです。

 

私は今年に三冠を達成したことが特にすごいと思っています。

 

京都競馬場菊花賞の翌週に開催を終え、

実に2年半ものの間、改修工事に入ります。

この工事は客席等のスタンドの設備はもちろん、

コースの路盤改修も行われます。

 

先述の通り、近年、京都競馬場はタフな馬場になっていますが

これは路盤が既にボロボロなのではないでしょうか?

(もしくは路盤改修をするので、そこまで馬場維持に力を入れていない)

 

今は特に菊花賞だけは、他の二冠よりかなり異質な適性を求められています。

元々、小回りでテクニカルなコースの皐月賞

広いコースでスピードが発揮しやすいダービー、

3000mの長丁場の菊花賞という面はありますが、

ダービーと菊花賞の適性があまりにも違いすぎるのです。

 

東京で活躍しやすいタイプと、京都で活躍しやすいタイプが全く違い、

京都の改修工事直前の今年に三冠を達成したことは奇跡的とも言えるでしょう。

 

おそらく改修工事の京都競馬場は、

東京競馬場にも負けず劣らずの高速馬場になっていると思います。

そうすると、ダービーの好走馬が菊花賞で好走しやすくなるはずです。

 

なので、コントレイルの三冠達成はものすごいことなのです。

 

 

・今後の展望

次戦はジャパンカップで、

アーモンドアイ、デアリングタクトとの三冠馬対決が実現します。

 

菊花賞からジャパンカップのローテは近年ほとんどなく、

菊花賞好走馬に限定すればしばらくないことです。

京都3000mは過酷であり、短いスパンで東京2400mを使うのは

相当大変だと思います。

果たしてどれだけのパフォーマンスが出せるか

それが最大のポイントになってくると思います。

 

来年以降は、菊花賞で折り合いを欠いたこともあり、矢作調教師は

「もう3000mのレースは使わない」と明言しており、

少なくとも来年の天皇賞・春を目指すことはなさそうです。

 

来年の春は国内なら大阪杯、海外ならドバイでしょう。

ドバイSCドバイターフかはわからない)

その後宝塚記念を使うかは微妙でしょう。

 

凱旋門賞の機運も高まりそうですが、絶対にやめるべきです。

馬場が違いすぎて日本の競馬とは別競技です。

天皇賞・秋ジャパンカップ有馬記念のうち

2戦もしくは全てを使う、という王道ローテを期待します。

 

そして、来年の成績次第ではありますが、

ディープインパクトと同様に4歳末での引退もあると思います。

ディープインパクトは死亡しており、後継種牡馬が求められています。

 

ディープインパクトが4歳で引退したのも、父サンデーサイレンス

死亡していたため、早急な後継種牡馬の登場を求められていた背景があります。

 

コントレイルが4歳でも今年と同様に強さを見せるなら、

まだ3歳ではあるものの、走りを見る機会は少ないかもしれません。

そうなってしまうと早すぎる引退に寂しさはありますが

早急に子供の走りも見たいというジレンマになりますね。

 

まずは無事にジャパンカップを走ってくれることを願っています。

個人的には3着に入れば評価は下がらないですし、

1着ならディープインパクト超えかも?とも感じてしまいます。

ディープインパクトは3歳の有馬記念で2着に敗れていますからね。

 

 

コントレイルのコラムが遅くなりましたが、

今週末のジャパンカップは絶対に見逃せません。

歴史的レースを楽しみましょう。