アメリカンファラオ産駒の可能性
先週のユニコーンSでカフェファラオが勝ちました。
これにちなんでカフェファラオの父アメリカンファラオについて考えてみます。
・衝撃的なカフェファラオの走り
ユニコーンSを少し振り返ります。
カフェファラオが2着デュードヴァンに5馬身差をつける圧勝でした。
勝ちタイム1分34秒9というのも優秀ですが、
それだけでなくラップタイムを見ると
最後の3Fは12.1→12.2→12.2と減速せずに駆け抜けています。
さらにカフェファラオは2番手追走から抜け出しています。
上記のように最後まで減速しませんでした。
他の先行馬はレッチェバロックを含めて直線で沈んだにも関わらずです。
今のカフェファラオの印象は、
スプリンターのスピードと、中距離馬の持続性を兼ね備える怪物です。
ルヴァンスレーヴ、クリソベリルと2年連続で、
3歳馬がチャンピオンズカップを勝っていますが、
カフェファラオも有力ではないかと思います。
・アメリカンファラオ産駒の驚異の勝ち上がり率
カフェファラオの父はAmerican Pharoah(アメリカンファラオ)です。
アメリカンファラオは2015年に37年ぶりにアメリカ三冠を達成しました。
そして3歳であっさり引退して4歳からは種牡馬入りしました。
これは怪我ではなく、二冠目のプリークネスS制覇の段階で
3歳での引退と種牡馬入りが決まっていたと言います。
日本だと信じられないですよね。
例えるならコントレイルが今年限りで引退することが既に決まっているようなものです。
種牡馬のビジネスとしては正しいのだと思いますが・・・
大きな期待を受けて2016年から種牡馬入りとなり、
初年度産駒は2019年デビューとなりました。
日本でも初年度産駒が7頭おり、カフェファラオもこのうちの1頭です。
すごいのは7頭中6頭も勝ち上がりを果たしたのです。
これはとんでもない数字です。
JRAでは未勝利戦が9月で終了します。
つまり3歳の9月までに新馬戦、未勝利戦を勝たないといけないのです。
勝てなかった場合、地方に移籍するか引退するかの2択になります。
(1勝クラスに挑戦する馬もいますが、勝てる馬はごくわずかです)
JRAの全体の勝ち上がり率は30〜35%程度です。
デビューする3頭に1頭しか勝つことは出来ないのです。
もちろん種牡馬によってこの数字は変わりますが、
ディープインパクト産駒でも50〜60%程度です。
アメリカンファラオ産駒はサンプル数が少ないながら驚異の85.7%。
優秀さがわかると思います。
海外でもアメリカンファラオ産駒は一定の成績はおさめているようですが
日本のダートの適性がずば抜けているように思います。
・母サンデー系やキンカメ系で芝も走れる?
勝ち上がり率が驚異的なアメリカンファラオ産駒ですが、
全てダート戦での勝利です。
というより、産駒の芝での出走がありません。
ダートに強いのは当たり前だろうと思うかもしれませんが、
必ずしもアメリカでの戦績が日本での芝orダートの適性に直結はしません。
日本で走った7頭に関しては、母系の血統背景が大きいと思います。
ここでアメリカンファラオの血統表を確認してみます。
アメリカンファラオは父Pioneerof the Nileで、
日本でエンパイアメーカー産駒はダートを中心に使われています。
JRAでの重賞勝利は4頭いますが、G1馬は不在で出走頭数から見ても
物足りない数字であることは否めません。
個人的には2勝クラスあるいは3勝クラスくらいまでは買えますが
オープン以上になると壁に跳ね返されることが多い印象の種牡馬です。
ではなぜアメリカンファラオ産駒はこれほどまでに勝てるのか?
それは母系にStorm Catがいることがポイントではないでしょうか?
Storm Catはディープインパクトとの相性が良いことが知られており、
さらにロードカナロアの母系にも入っており、日本のスピード競馬にマッチしている血です。
ここでカフェファラオの血統も見てみます。
カフェファラオはMr.Prospectorのクロスを持つ母系です。
Mr.Prospectorはキングカメハメハの父の父であり、
日本でもお馴染みの血統です。
つまり血統的には日本で走る土台は整っていたということです。
ただし、カフェファラオは日本の芝には欠かせない血となっている
(外国産馬なので当たり前ですが)
カフェファラオだけでなく、日本で走った他の6頭のアメリカンファラオ産駒も
非常に興味があるのは、サンデーサイレンスやキングカメハメハを持つ
アメリカンファラオ産駒は芝も走れるのか?ということです。
個人的にはディープインパクト産駒の父と母の逆をしているだけなので
芝も走れるような気がしてならないのです。
しかし、残念ながら現2歳世代のアメリカンファラオ産駒にも
サンデーサイレンスやキングカメハメハを持っている馬はいません。
今度に期待したいです。
・おまけ、ドレフォン産駒は芝も走れるか?
実は芝を走れるかはアメリカンファラオだけの話ではないのです。
社台SSにはアメリカのダートスプリント路線で活躍したドレフォンという馬がおり、
初年度産駒のデビューは2021年です。
父系にStorm Catがいる血統で、社台グループがドレフォンを購入したと聞いた時は、
ディープインパクトの逆をやろうとしているのだなとすぐに思いました。
もちろん血統だけで競馬をするわけではなく、
馬体、馬格、歩様、ストライド等も重要なので、
それらを見てから購入を決めているはずですが、
サンデーサイレンスやキングカメハメハの血を持つ牝馬と配合して
芝でも走れる馬を期待していたのは間違い無いはずです。
ちょっと遅くなりますが、ドレフォン産駒が芝も走れば
アメリカンファラオにサンデーやキンカメ系の牝馬をつけてみようと
なるのではないかと期待しています。
またはサンデーサイレンスのクロスとすることが主流ですが
アメリカ血統の父と配合しても面白いのではないか?と思っています。