RM_horseの競馬コラム

RM_horseの競馬コラム

競馬についてあれこれ書きます。

歴史的大レースを終えて・・・ジャパンカップ2020レース回顧

 

2020年11月29日、歴史的なジャパンカップが行われました。

このレースがいかに凄いレースなのかは、

予想(のようなもの)に書かせていただきました。

ジャパンカップは予想するけど結論は予想ではない【2020年】 - RM_horseの競馬コラム

 

この大レースを総括し、改めて三冠馬の凄さを記します。

 

 

・レースを振り返る

まずはレースを振り返ります。

 

最もスタートが良かったのはアーモンドアイでした。

もちろんだからといってハナには行きません。

キセキが押して先頭に立ちます。

これに絡んでいったのはトーラスジェミニではなく

逃げ宣言のヨシオ。ここでエキサイトしてしまったのか、

キセキは暴走気味に飛ばしていきます。

ヨシオは追いかけず、2番手は大きく離れます。

(追いかけるほどの脚がなかったのが正解か?)

 

1000m通過は57.9。過去10年で最も速いというだけでなく、

次に速かったのは2015年の59.3ですから、

いかにキセキのペースが速いかわかると思います。

しかし、1頭だけで他の馬はついていっていないので、

キセキ以外は平均ペースくらいで走れていたと推察できます。

 

離れた2番手、外にトーラスジェミニがいるのは予想通りでしたが

内にグローリーヴェイズがいたのは意外でした。

大外枠でも先行して内の経済コースを通らないと

勝負にならないと判断したのだと思います。

 

そしてその後ろ4番手にアーモンドアイがつけます。

スタートが抜群に良かったので、そのまま先行します。

デアリングタクトは中団7番手あたり、

コントレイルはその後ろ9番手あたりを追走します。

キセキを抜きにしても縦長の展開でした。

 

3,4コーナーでも先頭のキセキとの差はあまり詰まらず、

後続馬が直線を向いた時点でも、

キセキと2番手グローリーヴェイズとの差は10馬身以上あります。

アーモンドアイはグローリーヴェイズの後ろにピタリとつけています。

デアリングタクトは外からじわじわと進出して

レンブーケドールの後ろにつけ、

それについて行くようにコントレイルも進出します。

 

残り400m、キセキは遥か前におり、

グローリーヴェイズの川田騎手が懸命に前を追う中

ルメール騎手は焦らずに追い出しを我慢します。

 

そして坂を登り切った残り300mから

ルメール騎手は追い出しを開始すると

一気にグローリーヴェイズ、さらにキセキも抜き去り

残り150mあたりで先頭に躍り出ます。

 

差し追い込み勢からは

外からコントレイルの伸び脚が目立ち、

レンブーケドール、デアリングタクトも追いすがります。

 

しかしアーモンドアイには届かず。

1馬身強の差をつけて1着。

引退レースを勝利して有終の美を飾りました。

これでG1は自身の記録を更新する9勝目となりました。

 

2着は外から追い込んだコントレイル。

3着はコントレイルからクビ差離れてデアリングタクトが入りました。

4着カレンブーケドールとの差はわずかハナ差でした。

 

1番人気→2番人気→3番人気の三冠馬3頭で決着しました。

 

 

・やっぱり三冠馬は強かった

このレース、人気は三冠馬の3頭に集中して、

アーモンドアイは2.2倍、コントレイルは2.8倍、

デアリングタクトは3.7倍である一方、

4番人気グローリーヴェイズの単勝は17.2倍と

穴馬のようなオッズになっていました。

 

それだけ三冠馬は強いとされながらも

競馬サイト、ブロガー、YouTuberの方々の予想では

3頭では決まらないのでは?

とされている意見も多かったです。

今回は三冠馬の各馬に小さくない不安要素が

それぞれありましたから、そう予想するのも納得です。

現に私もその不安要素を予想で書いています。

ジャパンカップは予想するけど結論は予想ではない【2020年】 - RM_horseの競馬コラム

 

それでも三冠馬3頭で決まりました。

これに大きな価値があると思っています。

しっかり三冠馬の強さを3頭とも見せてくれました。

 

本当に素晴らしいことです。

特に今年は3歳馬が条件戦でも重賞でも古馬相手に苦戦傾向なので

コントレイルもデアリングタクトも棚ぼたの三冠と

揶揄されることもよくありました。

または、アーモンドアイに関しても

G1 8勝の新記録にケチをつける記事が出ていたりしました。

こちらを参照

 

しかし、そんな見方を跳ね飛ばす三冠馬の1〜3着独占でした。

三冠馬が3頭も同じレースに出たこと自体が歴史的ですが、

結果も伴ったことでさらに歴史的なレースになったと思います。

 

 

横綱相撲だったアーモンドアイ

圧勝とまでは言わないですが、

アーモンドアイの完勝と言っていいでしょう。

G1 9勝はしばらく破られない記録だと思います。

 

今年は春にマイルG1を連戦して速い流れに慣れ、

天皇賞・秋では折り合いがギリギリだったという見方もありました。

さらに距離延長のジャパンカップを、中3週でどうなるかと思いましたが

道中4番手をしっかり折り合って追走して、

直線の半ばで突き放す横綱相撲の競馬を見せてくれました。

 

本当に賢い馬なのだと思います。

某血統評論家は

「競走馬は走る距離を知らない」

と予想の際にしきりに仰りますが、

アーモンドアイはまるで知っているかのように

1600mにも2400mにも合わせてきました。

 

鞍上のルメール騎手もさすがの手綱捌き。

逃げるキセキが遠くにいても、

冷静にアーモンドアイが1番能力を発揮しやすいタイミングまで

無理に追うことはしませんでした。

 

特に残り250mあたりからの加速はすごかったです。

アーモンドアイの強さは単純に脚が速い、

加速が速いということだと思います。

その強みを存分に活かす騎乗でした。

 

個人的にはアーモンドアイのベストレースでした。

(ちなみにこのレースの前のベストレースは前走の天皇賞・秋

脚が速いために1600m〜2000mがベストと考えれていますが

2000m走ってからあの脚を使えるなら2400mがベストのように感じます。

本当に強かったです。

 

余談ですが、昨年の有馬記念の敗因もこのレースでわかった気がします。

もしかすると坂が苦手なのではないかな?と思いました。

本気で追い出していないとはいえ、坂では脚色が他の馬と変わらないか

少し劣るようにも見えました。

なので直線急坂のある中山は合わないのかなと。

 

いや、桜花賞阪神で急坂があったけど豪快に差し切っているぞと

ツッコミが入りそうですが、1600mと2500mでは事情が違います。

改めてアーモンドアイの東京でのレースを見返してみると、

東京の坂では他馬を突き放す感じはなく、むしろ詰められていたり、

今年の安田記念はグランアレグリアに坂で離されて、

登り切って平坦なところで追い込むも届かずという感じなので

坂は得意ではなかったのだと、引退レースになって認識しました。

陣営もそこはわかっていたからこそ、有馬記念のリベンジではなく

間隔が短いジャパンカップを引退レースに設定したのでしょう。

 

アーモンドアイのキャリアを振り返るコラムは

年末までに書こうと思っています。

 

 

・コントレイルの頑張りにも拍手

2着のコントレイルも素晴らしかったです。

無謀とも言える神戸新聞杯菊花賞ジャパンカップのローテ。

しかも菊花賞は改修工事直前の京都競馬場のタフな馬場。

昔よりも過酷だと思います。

 

このローテでアーモンドアイには敗れはしたものの、

デアリングタクトや他の古馬勢にはしっかり先着しました。

まさに底力を見せてくれました。

 

ここは二桁着順でも全くおかしくないシチュエーションです。

それでも上がり最速で2着に来るのはこの馬も怪物です。

やはり無敗の三冠馬は普通のG1馬ではないのだなと、

日本の競馬界の歴史の中心に名を刻む馬なのだなと確信しました。

 

アーモンドアイと同じく余談ですが、

コントレイルはアーモンドアイと違って坂は問題なさそうです。

このレースでも坂で差を詰めていましたし、

そもそも中山2000mのG1を2戦2勝です。

おそらく東京コースだから好走できたというわけではなく、

ジャパンカップではなく有馬記念だったとしても

連対できていたでしょう。

 

アーモンドアイに負けたことは消えず、

コントレイルの底が見えたみたいな意見を

よく見ましたが、全勝じゃないとダメなのでしょうか?

じゃあアーモンドアイはリスグラシューやグランアレグリア

完敗しているだろうということになってしまいますし、

ディープインパクト有馬記念ハーツクライに負けているぞと。

(翌年のジャパンカップで先着していますが、

 その時ハーツクライは喉鳴りでもうベストの走りは出来なかった)

しかもコントレイルが負けたのはG1最多勝利のアーモンドアイです。

コンディションだって万全には程遠かったでしょう。

 

別に数回負けたからといってなんでもないです。

じゃあ歴代最強馬はクリフジ※なのかと。

※1940年代の11戦11勝の馬

 

競馬ファンに限った話ではないですが、

特にスポーツを見る人は、他人に対して完璧主義な人が多いです。

一度の負けやミスを叩き、後々まで話題に引きずりだす。

下手したら勝っても内容が完璧じゃなければケチをつける。

競馬の場合、完勝でも馬場や展開が向いたからだといちゃもんつける始末。

 

じゃあお前は生まれてこの方完璧に過ごして

完璧な経歴を歩んできたのかと申したい。

当然勉学も優秀で東大は当たり前、あるいは海外の大学に行って

今は一流の企業に就職しているか、起業でもして

誰もが認めるエリートなんでしょうねって話です。

だからこんな話は無視でいいんです。

 

すみません、エキサイトしすぎました。

コントレイルの話に戻ると、来年春は大阪杯が目標とのこと。

ドバイの開催も不確定で、今年のように直前中止もあり得るので

現実的な目標だと思います。

出走すれば当然大本命でオッズも被ると思います。

 

 

・デアリングタクトはこれからの馬

三冠馬で最もローテに余裕があり、斤量にも恵まれ

万全と思われたデアリングタクトは3着でした。

昨年2着のカレンブーケドールと僅差だったこともあり、

そんなに大した実力はないという見方もあるようです。

 

まずそれはカレンブーケドールに失礼というのと、

(私も予想で評価していなかったので反省)

最後の最後にカレンブーケドールを差したことに価値があります。

コントレイルと同様に底力を見せたと思います。

 

3着と4着では大きな差です。

競馬では4着以下のことは着外と呼びます。

後々このレコードが大事になってくるでしょう。

 

さらに言えば、三冠馬に対して言う事でもないかもしれませんが、

デアリングタクトはまだまだこれからの馬でしょう。

 

エピファネイア産駒は現3歳が初年度なので

古馬以降の産駒の傾向はこれからですが

早熟というよりも晩成傾向の強いRoberto系ですし、

エピファネイア自身も古馬になってから

ジャパンカップで勝利しています。

 

デアリングタクトの全盛期もこれからではないでしょうか?

来年以降が楽しみです。

 

 

・4着以下の馬も少しだけ

4着は昨年2着のカレンブーケドールでした。

デアリングタクトと接戦で、1着ともそこまで離されていないので

強さは見せてくれました。

ただし、来年以降が難しいですね。

春は2000m以上を目指すなら大阪杯宝塚記念が本線ですが、

混合戦なのでここと同様に相手は強いです。

しかし牝馬限定戦ならマイル路線になるので経験がありません。

どちらに行くのか注目です。

 

5着グローリーヴェイズは有馬記念に向かうかはまだわかりませんが

内目の枠を引いて今回と同じように先行できれば

好走が期待できそうです。

来年は天皇賞・春が目標でしょう。

連覇中のフィエールマンを倒せる候補は2頭だと思っていますが、

その1頭はグローリーヴェイズです。

 

6着はワールドプレミア

5着までは差はありませんでしたが、6着以降は少し離されました。

しかしワールドプレミアは11ヶ月ぶりで、

調整も坂路中心で二桁着順もあるのかなと思っていたので

よく走った方だと思います。

さらに状態を上げていけるなら有馬記念で見たいです。

そしてフィエールマンを天皇賞・春で倒せる候補のもう一頭は

ワールドプレミアです。

 

7着ミッキースワローは2年前のジャパンカップと同様で

1〜3着の勝負には関係のない後方で末脚を使っただけという感じです。

ただ、まだ大きく衰えたわけではなさそうなので

福島の重賞では当然上位候補だと思います。

 

8着キセキはヨシオに少しつつかれただけで止まらなくなってしまいました。

気持ちよくいかせてやればいいのか、

後方待機で末脚を使うようにするのがいいのか難しいところですね。

あまり詳しくないですが、父ルーラーシップも晩年はこんな感じだったようで。

来年も現役を続けるなら2年連続2着の宝塚記念が目標ですかね?

 

9着以下は割愛します。

 

 

・最後に

本当に素晴らしいレースでした。

 

最後の直線、抜け出そうとするアーモンドアイ、

内で粘るグローリーヴェイズ、

追いすがるカレンブーケドールとデアリングタクト、

そして大外から追い込んでくるコントレイル・・・

 

非常に濃い内容でした。

お腹いっぱいという感じですが、

すぐに週末はやってきて、またG1があります。

そして年末の有馬記念もなんだかんだで

盛り上がるメンバーになることでしょう。

 

競馬はやっぱりいいものです。

たぶん死ぬまで見続けると思います。

お金との付き合い方さえ間違えなければ

こんなにいい趣味はないと思っています。

 

改めて競馬に携わる方々に感謝する週末でした。

 

 

あと、馬券は当たりました。