RM_horseの競馬コラム

競馬についてあれこれ書きます。

レース回顧 〜有馬記念〜

 

しばらくサボっていたレース回顧ですが、さすがに有馬記念は必要だろうと思いました。

出走馬の好走要因、敗因や今後の展望なんかも考えます。

 

 

・レースを振り返る

まずはレースを振り返ります。

出走馬と枠順は下記の通りです。

 

f:id:RM_horse:20191223130407j:image

 

スタートで逃げ候補のキセキが出遅れます。

逃げることがが多いアエロリットとクロコスミア、

そしてスティッフェリオの3頭で先行争いがありました。

正面の直線入り口ではアエロリットが明確にハナに立ちますが、

その為には気合をつける必要があり、ペースが緩まずに

その後も2ハロン11秒台の速いラップを刻んでいきます。

アエロリットの1000m通過は58.5。これは2500mではかなり速いタイムです。

東京のワンターンのコースで1600〜2000mのレースをした時と同じペースで逃げました。

これまでそういう競馬を教えられてきたので致し方ないのだと思います。

ただし、逃げ粘るにはありえないペースでした。

これをスローとはいかないまでも、もう少し抑えられるのが名手だと思います。

 

1000m通過時点で2番手のスティッフェリオとクロコスミアを引き離していましたが、

それでも5馬身程度でした。単純計算で5馬身=1秒としても、2番手も60秒は切っています。

これでも例年の有馬記念よりかなり速いペース。

有馬記念はほとんどスローペースになりますので、良馬場でのミドルペース以上の有馬記念

2013年まで遡ります。その時の1000mの通過が60.8です。

(2018年もミドルペースですが稍重馬場なので時計の比較ができないです)

いかにペースが速かったかわかると思います。

 

そのペースの中、道中の各馬の追走ですが、アルアインが外目の追走で4番手、

内にエタリオウ、スワーヴリチャード、スカーレットカラーの内枠勢、

その後ろに少し離れてヴェロックス、さらにアーモンドアイがフィエールマンを交わすと

ヴェロックスの外を上がって行きました。

(これは壁ができないなと思いましたがそこまでの心配はしていませんでした)

リスグラシューはその後ろの内ラチ沿いにピタリとつけ、外にはフィエールマン、

さらに後ろには内ラチ沿いにキセキ、外にサートゥルナーリアがいました。

少し離れて後方にシュヴァルグラン、最後方はレイデオロ、ワールドプレミアという馬群でした。

 

3コーナー入り口でもアエロリットのリードは5馬身以上ありましたが、

コーナー中間でスティッフェリオとアルアインが差を詰めていきます。

そして、アーモンドアイも一気に進出していき、それにフィエールマンもついていき、

さらに後ろのサートゥルナーリアもマークする形でいきます。

4コーナー出口ではアルアイン、スティッフェリオと進出した3頭が

ずらっと横一線で追い比べのようになりました。

 

しかし、コーナーでの激しい進出には絡まずに内でじっとしていたリスグラシュー

直線で一気にサートゥルナーリアの外に出していくと、

直線での急坂で後続を抜き去って5馬身の差をつけ1着。

2着は3,4コーナーで進出した中で最も伸びたサートゥルナーリアでした。

3着はコーナーではまだ動かずに最後方から追い込んだワールドプレミアが

早め進出から粘るフィエールマンを交わしました。

 

1番人気アーモンドアイは直線坂でパタっと脚が止まり9着でした。

アーモンドアイのことは最後に書きます。

 

 

リスグラシューの凄さとレーン騎手の好騎乗

やはりなんと言ってもリスグラシューの圧勝劇。

ラップを見ると最後の3ハロンは13.4→12.2→12.0と

ラップタイムがどんどん速くなる、いわゆる加速ラップ

前半ハイペースからこのラップで駆け抜けるというのは恐ろしすぎます。

上がり3ハロンはもちろん最速の34.7。

恐ろしいレースをしたと言えます。

 

ポイントは以下の3点でしょうか。

・道中を内ラチ沿いで我慢できた

・3,4コーナーで動がなかった

・直線ではスムーズに外へ

 

リスグラシュー宝塚記念でもコックスプレートでも外目を追走して勝ちました。

今回は枠が比較的内側ということで外ではなく内ラチ沿いの追走でした。

これは折り合いがつかないと出来ません。

4歳春まではテンションが課題で輸送のたびに馬体が減り、

マイルを中心に使っていた馬とは思えない成長です。

また、前2走の成功体験をなぞらずに枠に応じて方法を変えたレーン騎手も素晴らしいです。

 

そして3,4コーナーではアーモンドアイの進出に合わせて有力馬が次々と動く中、

リスグラシューは動きませんでした。

これは外に馬がたくさんいたので動けなかった事情はあったでしょう。

しかし、アーモンドアイについていった馬と、ついていかなかった(いけなかった)馬との間にスペースがあり、

直線では邪魔になる馬が無い状態で外に出すことが出来ました。

これはまさに展開が向いた面があると思いますが、

一気に外に出すという瞬時の判断が素晴らしく、スムーズでスピーディーな外への出し方でした。

この場面、少しでも外に行くか内に行くかと躊躇をしていたとしたら、

あっという間に追い込み勢が先頭集団との距離を詰めていて外に出すことはできません。

レーン騎手の腕が垣間見えたシーンでした。

 

 

・惜しまれるリスグラシューの引退

予想の段階リスグラシューオルフェーヴルに例えましたが、

オルフェーヴル以来の圧勝劇だったと思います。

多くの人が思っている通り、これで引退というのが惜しまれます。

それはクラブの規定(牝馬は6歳3月に引退し繁殖入り)なので仕方がないですし、

その規定がおかしいとも思いません。お母さんになるのも大事な馬生です。

むしろ2歳から重賞で活躍して、5歳の年末で最も充実してまだ成長するかもしれないという

リスグラシューが常識外なのです。

例外を作るとあれこれややこしくなるので、引退が正しいです。

 

クラブ馬が年齢の規定で引退する時にビッグレースを勝った例としては、

近年では2014年の有馬記念を勝って引退したジェンティルドンナが思い出されますが、

ジェンティルドンナの場合は

“全盛期の貯金”を切り崩しながらも、衰えが緩やかで最後に花道を飾れた

という感じがします。

もちろん勝って引退というのは惜しまれはしましたが、

仮に6歳をフルシーズン続けていても衰えは隠せなくなっていたと思います。

5歳の年末というのはそういう時期なので、いい引き際だったと思います。

 

しかし、リスグラシューはまさに今が全盛期

実際、牝馬でありながら混合G1を3連勝中です。

今でもまだ強くなっているのではないかとさえ思えます。

なので非常に惜しまれます。

大阪杯なら圧倒的でしょうし、天皇賞・春も面白いです。

また、今のリスグラシューが東京2000mや2400mを走ったら

どういうパフォーマンスするのか?非常に興味があります。

それが見れないのは残念ですが、想像するのも競馬の楽しさだと思います。

 

 

・各馬の評価、今後の展望

豪華メンバーの有馬記念でしたので、全馬の評価をしていきます。

 

◾️1着 リスグラシュー

前述しましたので割愛します。

 

◾️2着 サートゥルナーリア

後ろの外目追走という、全く展開に恵まれての2着ではないです。

ポジションが後ろなのは作戦なのかスタートの出方なのか、事実はわかりませんが

「テンションが上がらないようにあの手この手を使った」

という陣営のコメントから、後ろから行くのは作戦だったのかもしれません。

(そこを見抜けなかったのは予想のミスでした)

ただし、内側に入って壁を作れなかったのはよかったとは思いません。

それはこの馬の成長なのではないでしょうか?非常に強かったです。

鞍上のスミヨン騎手がコメントしていたように、

リスグラシューが強すぎただけで普通は勝っているはずです。

今後もまた楽しみになりました。

見たいレース:大阪杯

 

◾️3着 ワールドプレミア

これは明らかに作戦だと思います。

先行馬が多いのでペースも流れるだろうというのが鞍上の頭にあったと思います。

もちろん意外とペースが遅かったら届かないですが、

その場合でも前につけたところでスローからの瞬発力勝負に強い

いろいろな有力馬がいますから、着順は振るわなかった可能性が高いです。

神戸新聞杯はスローペースでサートゥルナーリアとヴェロックスにかなり離されました)

菊花賞では中団から競馬をしましたので、バリエーションが豊富です。

見たいレース:天皇賞・春 or ドバイシーマクラシック

 

◾️4着 フィエールマン

リスグラシューの次に強い競馬をしたのはこの馬ではないでしょうか?

コーナーでアーモンドアイを徹底マークして早めに動いて4着は立派です。

アーモンドアイが坂で完全に止まって9着であることを考えれば、

さすがのスタミナだなと感心です。やはり現役最強ステイヤーでしょう。

見たいレース:天皇賞・春

 

◾️5着 キセキ

出遅れて追い込む競馬になりました。

出遅れ後も少し押していかないと置いていかれそうになっていました。

陣営のコメントでも出足がつかなくなっているとありましたので、

今後は差し追い込み馬になるかもしれません。

もともと3歳時は差す競馬をしていたのでそれはいいですが、

極端な出遅れが癖になるのは心配です。

レースではムーア騎手の激しいアクションが何度も見られたように、

ズブくなってきているようです。

それでも5着まで来たのはスタミナの証でしょう。

見たいレース:天皇賞・春

 

◾️6着 シュヴァルグラン

大外枠からよく頑張りました。

7歳の年末であることを考えれば大健闘だと思います。

スタミナは健在でしたがスピードが足りていない印象です。

引退ということでお疲れ様でした。

 

◾️7着 レイデオロ

スタートで出遅れ、追い込みの形になりました。

しかしもう全盛期の末脚は残っていませんでした。

坂で脚が止まったように見えました。

こちらも引退です。お疲れ様でした。

 

◾️8着 ヴェロックス

スタートは良かったものの、先手争いをする各馬を見て控える形を選択しました。

しかし壁が作れずに折り合いを欠いてしまったでしょうか?

直線では伸びませんでした。

今後の路線の選択が難しくなるレース内容でした。

マイル路線というのはスピードが足りないので合わないでしょうし、

天皇賞・春も難しいと思います。

見たいレース:G2やG3で経験を積むのがいいかも?距離は2000m前後

 

◾️9着 アーモンドアイ

後に詳しく記します。

 

◾️10着 エタリオウ

積極的に先行していきましたが、厳しい流れでした。

もともとスローペースでの末脚を得意としていたので、

持久戦は合わなかったのでしょう。

3歳時はダービーで上がり最速、菊花賞ではフィエールマンの僅差の2着でしたが

2000m前後のもう少し短い距離でもいいかもしれません。

見たいレース:まずはG2、G3で復活を。距離は2000m前後

 

◾️11着 アルアイン

いつも通り4,5番手での追走から、3,4コーナーで仕掛けていきましたが、

ペースがきつかったです。

引退レースということでお疲れ様でした。

 

◾️12着 スワーヴリチャード

ジャパンカップ宝塚記念と同じように中団前目の競馬です。

直線では歩様がおかしくなったとのことです。

今のところ怪我の情報はありませんが、

今後見つかる可能性があるので安心はできません。

まずはコンディションを立て直してほしいです。

 

◾️13着 スティッフェリオ

先行勢には厳しい流れでしたので今回は仕方がありませんが、

重賞3勝ながらもG1では掲示板に載ったことがなく、壁に当たっています。

これからはG3、G2のハンデ戦に出ると斤量も厳しいので

レース選択が難しくなってきていると思います。

とりあえずは昨年7着(0.5秒差)の大阪杯に挑戦だと思いますが

もう一皮むける必要があります。

見たいレース:大阪杯

 

◾️14着 アエロリット

東京コースでのG1にめっぽう強い快速牝馬

引退レースに選んだのは有馬記念でした。

その東京コースと同じペースで逃げてしまったのは

「いつも通りの競馬」だったのだと思います。

今さら変えれませんでした。

G1はNHKマイルカップしか勝てませんでしたが、

その東京での走りは歴史に残るべき馬だと思います。

お疲れ様でした。

 

◾️15着 スカーレットカラー

内枠を引きましたが、やはり距離が合わなかったです。

1800mの府中牝馬ステークスでのパフォーマンスが良かったので

マイル路線も面白いと思います。

見たいレース:ヴィクトリアマイル

 

◾️16着 クロコスミア

そうそうにバテてしまいました。

やはり誰も逃げ馬がいない時がいいですね。

6歳までよくがんばったと思います。

お疲れ様でした。

 

 

・アーモンドアイの敗因について

アーモンドアイは直線で失速し、9着大敗となりました。

まずは怪我など無ければいいですが。

敗因について鞍上や陣営は

1週目の直線でフィエールマンを交わして上がっていった時に

イレ込んでしまい力が入り、直線でバテてしまったと語っていました。

 

すぐに思い出したのはディープインパクト菊花賞です。

菊花賞は向正面スタートで1周半のコース。

ディープインパクトは賢いので1周目の4コーナーで

スパートをかける時と勘違いしてしまい、脚を使おうとします。

そこで鞍上の武豊騎手は馬群に入れてなだめて落ち着かせ、

そこでディープインパクトも「もう1周あるんだ」と理解したようです。

 

今回ルメール騎手はそこが出来なかったと思います。

内に入れるスペースがあまり無かったかもしれませんが、

あまり内に入れようという動きも無かったので、

ルメール騎手は「多少イレ込んでも大丈夫だろう」と過信しすぎていたのかもしれません。

 

また、そうなった要因として、仕上げすぎたのだとも言えそうです。

天皇賞・秋は陣営は8分程度のデキだと話していましたが、結果は圧勝でした。

そして今回はその時よりも状態は上だということでした。

馬にもよりますが、仕上げすぎるとテンションが上がってしまいます。

アーモンドアイもそういうことなのかもしれません。

 

今考えればサートゥルナーリアの天皇賞・秋やダービーは

仕上げすぎだったのかも?と思ってしまいます。

もっと考えるとテンションが上がりやすいのはキングカメハメハ系が多いなと思います。

ドゥラメンテレイデオロなんかもそうです。でもキセキはそうでもないかな?

余談でした。

 

 

・負けたからこそわかる凄さ

アーモンドアイが負けたにしても、9着ということにショックがあった方が多いと思います。

私もリスグラシュー以外には負けないだろうと思っていました。

中山が向かなかったとか、距離が長かったとか、そういう意見が多いようです。

心ない人の中にはアーモンドアイはあんまり強くないとか言う人もいるようです。

 

私は全くそうは思っていません。アーモンドアイでも負けるということが、

ヌルい世界ではないんだということの証明ではないでしょうか?

だからこそ、これまでディープインパクトのような

圧倒的な成績をおさめ続けてきたことに凄さを感じます。

少しの歯車の狂いだけで、着順がどんどん悪くなるのが現代のG1です。

ここまで4戦目以降ずっとG1に出続けて、7戦6勝3着1回という成績だったことが

奇跡の馬なのではないでしょうか?

 

まずはしっかり立て直していただき、来年にまた素晴らしい走りを見せてくれると思います。