アーモンドアイの凱旋門賞断念は英断である。
4/25にアーモンドアイの凱旋門賞断念に関するこんな記事を目にしました。
アーモンドアイ 凱旋門賞断念は競馬史において大きな損失ではないか
記事にいちいち目くじらを立てるのはマスコミ各位への敬意に欠ける行為ですが、
この記事に関してはどうしても書きたかったのでコラムにします。
記事の内容を要約すると
- アーモンドアイの凱旋門賞断念はビジネス的な観点から見れば正論。牝馬だから種牡馬にもなれないから付加価値は不要。
- しかしルメールが一番強い馬と言っているのだから凱旋門賞に行かないのは競馬界の損失。
- それは海外との文化の違いもある。エネイブルは凱旋門賞制覇後も現役だしウィンクスは8歳まで現役を続けた。
- 日本はもっとファンの夢に寄り添うべきだ。
酷すぎて突っ込みどころ満載ですが、ひとつずつ反論します。
まず、アーモンドアイが凱旋門賞を断念したのは、
馬のコンディションを考慮しての話です。
これは国枝調教師がコメントを出しています。
コメントを読む限り、勝てる勝てないの話ではなく、
馬の体調に重大な支障をきたすリスクが大きいと判断しているようです。
この談話に触れずに、あくまで牝馬だから断念したと恣意的に表現することは悪質です。
東スポは馬が壊れることは承知で挑戦しろと言っているようです。
次に、凱旋門賞に挑戦しないのは競馬界の損失だとありますが、全く意味がわかりません。
競馬は凱旋門賞が全てではありません。
日本のレースもレベルが高いですし、勝ち続けることは非常に難しいです。
アーモンドアイは既に歴史的名馬の仲間入りをしています。
そもそも私はなぜ凱旋門賞にこだわるのか全く理解できません。
馬場が違えば勝つ馬が違うのは当たり前ではないでしょうか?
日本には天皇賞やジャパンカップや有馬記念といった素晴らしいレースがあるのに
凱旋門賞に対してそれを上回る評価をする理由がわからないのです。
そして、まるで海外はファンの期待に応えて挑戦する文化で日本はドラスティックだと言っているようです。
例に上げているエネイブルとウィンクスの2頭だけ見てもよっぽど海外の方がドラスティックですけどね。
エネイブルもドバイには出てきていませんし、
ウィンクスに至ってはオーストラリアでしか走ってないですからね。
レーティングがトップになっても凱旋門賞なんて全く挑戦していません。
要は勝てるレースを選んでいるだけです。
招待されても、賞金が高くてもジャパンカップに有力馬はなかなか来ないです。
それが普通だと思いますし、そのことに対して咎める気もありません。
以前、クラブ馬が海外遠征することに反対するコラムを書きましたが、
生産者側が海外レース制覇を夢見て、出資者にリスクだけ押し付けるのがおかしい話です。
それなら遠征費や保険料負担という形でリスクを背負うか、
いっそのことオーナーブリーダーとなって凱旋門賞を勝てそうな馬を所有すればいいのです。
好き勝手言う競馬ファンは放っておきましょう。
アーモンドアイに稼がせてもらったんだから遠征費くらい出せと言う人も結構多いですが
そもそも出資馬が勝てるかどうかもわからない、一口額や預託料などのリスクを負いながら、
海外遠征の理不尽な負担までしないといけないのでしょうか?
日本の夢の為に遠征すべきだというならばあなたがカンパでもすべきで、
しないのなら文句を垂れるのは慎むべきです。
私は無責任に人にお金を出せとはとても思えません。
競馬に疎いメディアが言うなら百歩譲っても、
トレセンに出入りしているトラックマンを多数抱える東スポが書く記事ではないですね。
レーシングカーであれば壊れたら作り直せますが、馬は壊れたら治せるかどうかわかりません。
国枝調教師の決断は、英断と言えるでしょう。