説明もしなければ責任も取らないJRA
禁止薬物が含まれたサプリメントの流通問題、
今のところJRAは何の説明もせずに乗り切ろうとしています。
この問題については先日コラムを書きましたが、
新しい事実が判明したところもあります。
時系列も含めておさらいして、JRAやマスコミ、競馬評論家への意見、提言を書いていきます。
先日のコラムはこちらから↓
JRA 禁止薬物摂取疑いに伴う大量除外について - RM_horseの競馬コラム
・時系列のおさらい
まずは時系列をおさらいしておきましょう。
◼︎ 6/14(金)飼料添加物「グリーンカル」から禁止薬物が含まれているので
回収したいという連絡が厩舎に入る。
→この連絡は飼料販売業者とのことですが、グリーンカルを取り扱う日本農産工業なのか、
他の商社等なのかは不明です。
◼︎厩舎からJRAへ報告され、6/14 16時頃にJRAに報告。
その後競走馬理化学研究所で調べたところ、
グリーンカルから禁止薬物のテオブロミンの検出が確認されたとのこと。
おそらくここから6/15,16の出走馬の中で、摂取の可能性がある馬の調査が入ったことでしょう。
◼︎6/15 6時頃、禁止薬物摂取の可能性が否定できない156頭の競走除外が発表される。
→仮に不確定要素があり、最速での発表がこの時刻だったとしても
夜間の馬券発売は中止にすることは出来たはず。
後で該当馬を含む馬券を返還すればいいと考えていたのでしょう。
しかし除外馬だけでなく、頭数が減ったことによるレース展開への影響を考慮すれば
全馬券返還、というよりも発売しないのが筋です。
◾︎6/15 12時頃、JRAの裁決委員が競馬場で会見を開き経緯を説明。
その記事はこちらから↓
禁止薬物問題でJRAが会見「検査済みのものしか販売しないはずが、徹底されていなかった」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
→メーカーに責任を押し付ける印象があります。これについては下記に記します。
◾︎開催が終了した6/16、除外馬の6/22,23の自己条件での優先出走権付与を発表。
あまりにも短く、何の救済措置にもならない馬も多いなと思っていたら、
その後6/18に優先出走権は2ヶ月に延長されました。
→除外馬は再調整してレースに臨めますが、それ以外の馬が除外されるケースが
出てくるでしょう。影響は多岐にわたります。
そして、今日までJRAからのプレスリリースはありません。
早急にまとめるように通達したという記事はありましたので、
農林水産省、JRAに禁止薬物問題の原因究明と再発防止策指示(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
このまま何も発表せずに終わることはありませんが、
2週間以上経って何もお知らせしないというのは不誠実です。
普段公正競馬を口すっぱく言っているくせに、自分のことになると動きが遅く、連絡も無し。
他人に厳しく自分に甘い典型的なケースですね。
・悪いのは誰か?
本件、JRAが100%悪いです。
なぜなら管理しているのはJRAだからです。
責任は全てJRAが負うべきです。
未検査のサプリメントを流通させた日本農産工業を責める声が多いようですが、
確かにこの会社に問題がなかったかといえば、そうではありません。
ですが、管理できなかったのはJRAです。現場に責任をかぶせるべきではありません。
禁止薬物問題でJRAと製造会社に食い違い…日本農産工業、検査クリア製品と同一の扱いにしていた (スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
上の記事によれば、本件の未検査ロットを昨年12月から流通させていたようで、
薬物検査を依頼したのは今年4月になってから。
これだけ見るとメーカーがずさんな管理をしたからJRAは被害者だと思う人もいますが
メーカーだってバカではありません。
こんな危険な橋を渡らなくてもやっていけるならそうしたいのです。
ここからは私の想像ですが、世の中の不祥事の構図は大抵こんな感じです。
生産しても検査をクリアするまで流通できない。
検査が迅速に終わればいいですが、品質管理において
そのロットに異物が含まれていないことが確からしいとする検定をするには
それなりのサンプリング数を必要としますので、手間がかかります。
もしかしたら費用もメーカー持ちかもしれません。
検査が終わらなければ、ずっと在庫を抱えることになります。
在庫を保管しておくのもタダではありません。
製造業において在庫を多く抱えるのは避けたい事例なのです。
そんな状況でどうしようかと考えた時のある種の“知恵”が
同じ配合で同じ製造工程なら違う窯で製造しても以前と同じロット
という常識からは離れた解釈をすることなのだと思います。
もしJRA側が検査体制、在庫の保証などをきちんとしていれば
こんなことにはならないのではないですか?
なのにもかかわらず、何かあった時は現場に責任を丸投げです。
これでメーカーに責任を厳しく追及するのなら、
それ相応の金銭をメーカーに最初から払っておくべきです。
不祥事があった時、大抵責任を追及されるのは下請けや現場にいる従業員個人です。
下の記事もメーカーへの批判ばかりです。
混入が発覚した際、何故最初にJRAに報告しなかったのか|GJ
高い検査能力と旧態依然の世界観…JRA薬物検出: 日本経済新聞
もちろん、メーカーが悪くないとは言いません。
しかし責任者というのはその名の通り責任を負うものなのです。
JRAは責任から逃げています。
金を持つものは、責任も持つべきなのです。
そしてマスコミも1番の責任者に説明を求めることがあまりにも少ないと感じます。
トレセンから締め出されることを恐れているのでしょう。
JRAの理事が出てきて会見するべきですが、それも求める様子もありませんし、
示し合わせたかのように本件に関する記事は見かけなくなりました。
そんなことでジャーナリズムと呼べるのでしょうか?
読者や競馬ファンではなく、JRAに身体が向いているのでしょうね。
事件発生の段階で、こうなることは想像していましたが、
いざそうなると、やはりがっかりです。
JRAやマスコミに誠実な対応を期待する方が無理でした。
わかりきっていたことでしたが。